したがって、Siriの自動削除機能は、アップルがAI分野で出遅れているという事実があっても、際立つ要素になり得る。優れたプライバシーはコントロールをもたらす。アップルがまさにそれを実現しようとしているように見える。
ただし、これは大きな前進である一方、アップルはさらに一歩踏み込むべきだと考える専門家もいる。
ESETのグローバル・サイバーセキュリティ・アドバイザーであるジェイク・ムーアは、新しいSiriの機能について「非常に重要だ。より多くの人が、メンタルヘルスのケアや法律相談といった、きわめて個人的な用途にAIを使うようになっているが、プライバシーについて深く考えないまま利用している」と述べる。
しかしムーアは、この種の機能は「追加オプションではなく、デフォルトでオンになっている必要がある」とも指摘する。「アップルは明らかに、AI機能(知能)よりもプライバシーを優先している。これは中核的なブランドメッセージの一部であり、ほかも追随してほしい」と同氏は付け加えた。
一方で、プライバシーが高まるほど機能性が下がる点にも注意が必要だ。9to5Macのベン・ラブジョイが書いているように、AIチャットボットはチャット履歴から学習し、その文脈は将来のやり取りで非常に有用になり得る。
ラブジョイは、この選択肢が用意されること自体は前向きだとしつつ、「自分は有効にしない」と述べる。「なぜなら、今の自分が選ぶAIはClaudeであり、自分の好みを反映するよう、明示的にも暗黙的にも学習させてきたからだ」という。
Siriが特定のセッションから機微なデータを保持することに懸念があるなら、個別のチャットを手動で削除するという選択肢は常にある、と同氏は言う。
ラブジョイの指摘はもっともであり、iPhoneユーザーがパーソナライズされた機能性よりもプライバシーをどれだけ重視するかに左右されるだろう。しかし最も重要なのは、Siriのデータに対する選択肢とコントロールである。AIの新しい世界において、それは希少なものだ。


