イーロン・マスクが所有するスペースXが米証券取引委員会(SEC)に提出した新規株式公開(IPO)申請書類により、同社の財務状況が明らかになった。しかし、マスクへの巨額な報酬や、火星へのコロニー(入植地)建設計画を実現するために彼が持つ同社への強大な支配力に対し、あるアナリストは懸念を表明している。
複数の時価総額目標、100万人が居住する「恒久的な人類のコロニー」建設
「人類の多惑星居住」計画を掲げるスペースXは米国時間5月20日付けの開示書類の中で、同社が複数の時価総額目標を達成し、さらに少なくとも100万人が居住する「恒久的な人類のコロニー」を建設することを条件に、10億株近いクラスB株式がマスクに付与されることを明らかにした。
申請書類によると、マスクは8億5000万株近いクラスA株式と55億7000万株のクラスB株式を保有し、議決権の85%を支配している。彼の他に5%を超える持分を持つ個人や法人は存在しない。
フロリダ大学のファイナンス学教授であり、同大学の市場調査プログラム「IPOイニシアチブ」のディレクターを務めるジェイ・リッターはフォーブスに対し、人類を火星に送り出すための「莫大なコスト」がスターリンクから生まれる利益に依存していること、また、火星のコロニーを維持するには「巨額の」補助金が必要になることへの懸念を語った。
マスクには株主価値を最大化する義務があるものの、彼が同社を完全に支配しているため、「もし彼が火星への入植を強く望み続けたとしても、彼の支配力が強すぎるがゆえに、他の株主にできることはほとんどない」とリッターは指摘する。
資産1兆ドル(約159兆円)以上の富豪「トリリオネア」へ
マスクは21日時点で推定8077億ドル(約128.42兆円。1ドル=159円換算)の資産を持つ世界一の富豪であり、彼はスペースX株の約40%を保有すると見られる。同社の株式公開は史上最大のIPOになると予想されており、その企業価値は1兆5000億ドルから2兆ドル(約238.5~約318兆円)に達するとの見方が強い。これによりマスクが資産1兆ドル(約159兆円)を達成する史上初の人物(トリリオネア。1兆ドル富豪)になることはほぼ確実だ。
もしスペースXの評価額が1兆5000億ドルとなれば、マスクの推定持分は約6000億ドル(約95.4兆円)の価値を持ち、彼の資産額は1兆4000億ドル(約222.6兆円)をわずかに上回る。企業価値が2兆ドル(約318兆円)に達した場合、マスクの持分はおよそ8000億ドル(約127.2兆円)となり、その資産は1兆6000億ドル(約254.4兆円)を超える可能性がある。



