アジア

2026.05.22 11:30

日本の長期金利が急上昇中、債券トレーダーに「シートベルト」着用サイン

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もっとも、ほかの主要国債市場も似たり寄ったりの状況ではある。米国では30年債利回りが心理的節目の5%を大きく上回り、およそ19年ぶりの高水準となる5.19%をつけた。英国では20年債と30年債の利回りが1998年以来の高さに上昇し、ドイツの長期金利も欧州債務危機以来15年ぶりの高水準にある。オーストラリアやニュージーランドの国債市場も5月は厳しい状況だ。

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こうした金融混乱はまだ始まったばかりかもしれない。米国のドナルド・トランプ大統領が対イラン戦での勝利宣言を試みてから100日近くたつが、市場は戦争がずるずると長引くかもしれないという現実を受け入れ始めている。原油価格の1バレル100ドル超えやホルムズ海峡の事実上の封鎖が長期化するほど、2026年の世界経済はますます通常の軌道から外れていくだろう。

ただ同時に、AI(人工知能)ブームのおかげでニューヨークからソウルまで各地の株式相場は急騰している。AI銘柄にけん引され、韓国総合株価指数(KOSPI)は年初来67%、過去1年では177%も上昇している。台湾の加権指数も年初来36%、過去1年では86%という大幅高を演じている。だが、原油高にともなう影響がアジア市場を直撃すれば、この地域の株式市場も一転急落しかねない。

日本もだ。日経平均株価も年初来15%以上上げている。しかし、日銀の見通しでは2026年の消費者物価指数(CPI)上昇率が2.8%に達する一方、実質GDP成長率は0.5%にとどまる。賃金の伸びは物価上昇率に追いついておらず、とくに日本の労働者の7〜8割が雇用されている中小企業ではその傾向が顕著だ。

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英調査会社オックスフォード・エコノミクスの長井滋人在日代表は「中小企業による賃上げ余地は限られているため、日本銀行は金融政策の正常化プロセスを引き続き段階的かつ慎重に進める可能性が高い」と予想する。とくに、中小企業は中東危機をきっかけとした交易条件の悪化にひときわ脆弱だという点を踏まえれば、なおさらだとしている。

世界市場が混沌とするなか、日本国債の暴落に賭ける取引はついに報われるのか。結果は時間がたたなければわからない。それでも、ひとつはっきりしていることがある。いまは、世界中の債券トレーダーにとって「シートベルト着用」が必須の局面だということだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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