アジア

2026.05.22 11:30

日本の長期金利が急上昇中、債券トレーダーに「シートベルト」着用サイン

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日本国債が間もなく暴落するという話に、いまのところ多くの投資家は乗っていない。過去15年の世界の「ウィドウメーカー(未亡人製造機)」取引ランキングを作れば、円建て債券の暴落に賭けることは間違いなくトップにくるだろう。

理由はいくつもある。日本国債の90%超は国内で保有されており、大規模な資本逃避のリスクは排除されている。銀行や保険会社、郵政グループ、公的基金、年金基金、そして増え続ける退職者にとって、日本国債は主要な資産となっている。これは「相互確証破壊」的な構造をつくり出していて、互いに売りを抑制する力学がはたらいているのだ。

さらに日本銀行の存在もある。日銀は日本国債を買い入れているだけでなく、上場投資信託(ETF)を通じて株式も購入していた「究極のクジラ」だ。日銀は1999年にゼロ金利政策を導入し、2001年には世界に先駆けて量的緩和を実施した。2013年には金融実験を「異次元」へと拡大した。2018年には、日銀のバランスシートは日本の550兆円規模(当時)の国内総生産(GDP)を上回る大きさに膨れ上がった。これも主要7カ国(G7)で初めてのことだった。

だが、米国とイスラエルが始めたイランに対する軍事行動のあおりで、世界の債券市場は乱気流に巻き込まれている。日本も例外ではない。日本の10年物国債の利回りはここ数日で、1996年以来の高水準となる2.8%にまで上昇した。

日本の国債価格急落の大きな原因として挙げられているのが、主要国で最も重い債務負担を抱える国で高市早苗首相が進める財政政策だ。昨年10月に首相に就任する前から、高市は減税や景気刺激策によって内需を押し上げる考えを示し、債券トレーダーたちを戦々恐々とさせていた。

中東の交戦でインフレが加速する前から、トレーダーたちは、GDP比で240%ほどに達する債務を抱える日本が財政のアクセルを踏み込むことに不安をおぼえていた。また、人口減少や生産性の慢性的な低さ、さらにスタグフレーションの到来も懸念していた。中東の交戦はこれらすべての問題を同時に悪化させ、日本を危険な状況に追いやっている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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