政治

2026.05.22 10:30

膠着状態が続くイラン情勢 米国は今後どう出るのか

米国のドナルド・トランプ大統領。2026年5月8日撮影(Alex Wong/Getty Images)

米国のドナルド・トランプ大統領。2026年5月8日撮影(Alex Wong/Getty Images)

イランと米国の対立は行き詰まっているように見える。イランが数週間にわたってホルムズ海峡のエネルギー輸送を脅かすと発言し続けたことを受け、米国のドナルド・トランプ政権は先月、同海峡を逆封鎖し、イランによる支配を阻止する方針に転じた。それ以来、世界のエネルギー資源の約5分の1が通過するホルムズ海峡の現状は事実上凍結状態にある。一方、イラン政権は、通過船舶から金銭の支払いを強要するための新たな海事当局の設立など、同海峡での支配を強化しようとしている。

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こうした状況から、両国の対立はある種の膠着(こうちゃく)状態に陥った、あるいはさらに悪いことに、米国はすでに敗北したと結論付ける向きもある。恐らく最も極端な例は、米シンクタンク、ブルッキングス研究所のロバート・ケーガン博士の発言だろう。同博士は最近、米誌アトランティックで、トランプ大統領はイラン政権に事実上「完全な敗北」を喫したと断言。この「詰み」の状態は、米国の長期的な信頼性に壊滅的な打撃を与えるとの見方を示した。

ケーガン博士の見解はいずれ正しかったと証明されるかもしれない。だが、現時点では同博士の悲観的な判断は明らかに時期尚早であり、イラン経済の実態がその理由を物語っている。

石油輸出はイラン政権の生命線であり、同国の国内総生産(GDP)の約15~20%を占めている。ホルムズ海峡の封鎖が実施される以前、イランは日量推定210万バレルの石油を輸出していた。ところが、米国が同海峡を封鎖したことで、イランの石油輸出量は約75%落ち込んだ。専門家によれば、これにより、イラン政権は1日当たり約1億5900万ドル(約250億円)、月間では130億ドル(約2兆円)の損失を被っている。

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また、同国は現在、輸出可能な量をはるかに上回る量の石油を生産しているため、政権は窮地に陥っている。生産した石油を貯蔵する方法がなければ、生産量を削減せざるを得なくなるだろう。最悪の場合、イラン政権は稼働中の油井の少なくとも一部を閉鎖せざるを得なくなるが、この措置を取ると元に戻すのが困難で、長期的な損害をもたらす恐れがある。

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翻訳・編集=安藤清香

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