この事態を認識したイラン政権はここ数週間、石油の適切な貯蔵場所の確保に奔走しており、古い貯蔵施設の再開から空きタンカーを貯蔵用に改造することまで、あらゆる手段を講じている。さらに、油田の稼働を維持するための必死の試みとして、同国は海に原油を放出し始めたとも報じられている。
こうした中、イランの状況が深刻化するまでにはまだ時間があるとみる専門家もいる一方で、米政府の見方は明らかに強気だ。米CNBCとの対談で、スコット・ベッセント米財務長官は、イラン政権の石油貯蔵能力は既に限界に達していると指摘した。とはいえ、この経済的締め付け戦略には時間がかかると考えるのが妥当だろう。
そのため、向こう数日間のうちに米政府はイランに対する軍事作戦を再開することで、この戦略を加速させようとする可能性が高い。もしそうなれば、目的は明確になるだろう。イランの余剰石油貯蔵能力を排除するとともに政権の重要施設を破壊し、米国との交渉に反対する政治指導部の強硬派を標的にすることだ。
確かに、トランプ大統領自身も対処しなければならない圧力に直面している。議会内では政治的不満の声が高まっており、大統領の支持基盤は、イランとの対立がこれ以上長引けば、既に低迷している共和党の中間選挙の見通しに大きな影響が出るのではないかと懸念している。だが、現時点ではホルムズ海峡、ひいては国際エネルギー市場の支配権をイランに握らせたままにしておくことは破滅を招くという認識が米国の与野党双方に共有されているため、そうした懸念は少なくとも部分的には和らげられている。
その結果、トランプ政権は封鎖措置の効果を最大限に発揮させるための猶予期間を得るとともに、イラン政権への圧力を他の面でも強化する余地が生まれるだろう。これほど重大な局面である以上、米政府がこの好機を逃さず行動を起こすことは間違いない。


