サイエンス

2026.05.26 18:00

人がキスをする本当の理由 2100万年前の祖先から続く、進化生物学の物語

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人類にとってさえ、キスは普遍的なものではない

知的な誠実さから言えば、ここでいったん立ち止まる必要がある。私たちはキスについて、まるですべての人間が行うことであるかのように語ってきたが、実際にはそうではない。

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キスの起源を2100万年前までさかのぼったオックスフォード大学の研究では、ロマンチックあるいは性的なキスが確認されているのは、人類の文化の約46%にすぎないことも明らかになった。一部の社会では、この行為は広く行われ、儀式化されている。一方で、全く行われない社会もある。

それらの文化がキスを「発見」できなかったということではない。たとえ進化の過程で深く根付いた行動であっても、文化的な文脈によって形づくられ、制約を受けることを示しているのだ。生物学的構造は古くから存在し、広まっているかもしれないが、その文化的表現はそうではない。

これにより、2025年の研究で完全には解明されなかった疑問が生じる。ロマンチックなキスとは進化の結果ではあるが、一部の文化圏で後に抑制された行動なのか、それとも、特定の集団から広まった文化的発明なのかという疑問だ。

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科学の現段階における正直な答えは、確かなことはわかっていない、というものだ。研究で明らかになっているのは、キスをする能力、つまり神経回路、化学感覚器官、神経化学的メカニズムが、霊長類に共通して見られる特徴であるということだ。これは、私たちの種が受け継いだものであり、その後、どこでどのように生きるかによって、極めて多様な形で発展してきた。

おそらくそれが、キスについて最も明白なことだろう。キスとはまさに、自然と文化、生物学と(そこに与えられた)意味が交差するところに位置している。半分は太古からの反射であり、半分は社会的な発明なのだ。

誰かに身を寄せると、2100万年前の何かが動き出す。それはかつて、中新世の森での毛づくろいのひとときを終わらせる行動であったし、祖先たちが、見知らぬ相手に適切な免疫プロファイルがあるかどうかを見極める手助けをした行動でもあった。そして、現代の脳にドーパミンやオキシトシン、そして寄り添うことの温もりをあふれさせるものでもある。

キスが、詩や文学、さらには西洋のロマンチック映画の古典的作品の大事なテーマになっているという事実は、進化論的な観点で言えば、「ボーナス(おまけの贈り物)」のようなものなのだ。

forbes.com 原文

翻訳=米井香織/ガリレオ

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