2025年の研究の筆頭著者であるオックスフォード大学の進化生物学者マチルダ・ブリンドル博士は、これを「進化の難問」と表現している。この表現は的を射ている。明らかな利益がなく、真のコストを伴う行動は、時間の経過とともに淘汰されるはずだ。それにもかかわらず、キスが淘汰されず、むしろ私たちの系統がより複雑になるにつれて、深まり多様化したという事実は、それ自体が示唆を与えてくれる。
つまり、キスとは、すぐにはわからない形で、生物学的にそれだけの価値があるということだ。その仕組みを説明するため、3つの仮説が提唱されている。
人間のキスに関する3つの仮説
1. グルーミング仮説
グルーミング仮説は最も古く、ある意味では最も洗練された仮説だ。英ウォーリック大学のアドリアーノ・ラメイラが『Evolutionary Anthropology』に発表した2024年の研究によれば、キスは、霊長類のグルーミングの最終段階に由来する可能性が高いという。つまり類人猿において、ある個体が、別の個体の毛並みを整えた後、付着したごみや寄生虫を取り除くため、突き出した唇を皮膚に吸い付けるような動きをする瞬間のことだ。
しかし、人類の進化の過程で、私たちは体毛を失った。それに伴い、グルーミングの時間も短くなった。しかしどうやら、その最後に行われる「キス」は残ったようだ。最初は社会的絆として、そして次第に、それ以上のものとして。
ラメイラの分析は慎重にも、この変化が必然的なものではなかったことを指摘している。それは、特定の生態学的圧力、つまりヒト科の祖先が、森林地帯から、より開けた乾燥地帯へと移り住み、その頃に体毛を失ったことと関係していた。
手入れすべき厚い毛皮がない生活では、口を使った接触は、衛生的な機能から切り離され、新たな社会的意味を獲得する余地が生まれた。その行動はすでに存在しており、私たちの行動レパートリーに組み込まれていた。進化は単に、その用途を変えたにすぎない。


