ビジネス

2026.05.27 15:15

「アメリカに製造業を呼び戻せ!」〜デトロイト「再工業化」最前線(前編)

「The 23rd」に製造拠点を置くNox Metals社 Courtesy of the Author

日本企業にとっての「新たな機会」

この再工業化の波は、日本企業にとっても極めて重要な意味をもつ。

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例えば、産業用ロボットのグローバルリーダーである FANUC (ファナック)は、2026年3月、デトロイト郊外のポンティアックに新たな製造拠点を設立する計画を発表した。FANUC AmericaのCEOである マイク・チコ氏は、「今後どの政権が誕生したとしても、米国における製造業の再工業化に向けた流れは今後も続いていくだろう」と話す。

一方で、米国における製造業労働力の長期的な減少は、否定しがたい構造的課題である。再工業化を前進させるためには、自動化の大幅な進展が不可欠となる。しかし、ロボティクスで重要な精密機器分野において、米国はいまだ十分な専門性を有していない。この領域こそ、日本企業が長年にわたり競争優位を築いてきた分野である。このギャップは、新たなビジネス機会を生み出しており、FANUCはその好機を積極的に取り込もうとしている。

FANUCのミシガン州オーバーンヒルズにある工場の様子(Courtesy of FANUC)
FANUCのミシガン州オーバーンヒルズにある工場の様子(Courtesy of FANUC)

また、再工業化の進展に伴い、ロボティクスや先端製造分野における人材需要も急速に高まっている。こうした動きを受け、FANUCは「FANUC Certified Education Robot Training(CERT)」プログラムを展開している。このプログラムは、教育機関にロボティクスおよび自動化技術を導入するもので、現在では全米1700以上の高校、職業訓練校、コミュニティカレッジ、大学に広がり、産業ニーズに即した実践的な教育機会を提供している。

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特にデトロイト周辺の大学は、次世代人材の育成において重要な役割を担っている。チコ氏によれば、デトロイトは「フィジカルAI」のハブとして台頭するポテンシャルを有しているという。
シリコンバレーがAIを中心としたデジタル領域のイノベーションを牽引し続ける一方で、現実世界における大規模な実装は、デトロイトのような地域で進みつつある。

今日の米国におけるイノベーションの全体像を理解するためには、もはやシリコンバレーだけを見ていては不十分だ。より深い日米連携を志向する日本企業にとって、「どこで」「どのように」モノづくりが行われているのかを理解することが、これまで以上に重要になっている。

再工業化の震源地へ

先に紹介したデトロイト拠点のマイクロVCである640 Oxfordは、この動きを象徴する存在でもある。

彼らは毎年初夏、デトロイトで「Reindustrialize Summit」の開催を支援し、起業家、投資家、エンジニアなど数百人規模の参加者を集めている。テーマは一貫して「アメリカの再工業化」だ。

かつて衰退の象徴だった都市が、今や新たな産業革命の震源地となりつつある。

後編では、この再工業化の最前線で投資を行う640 Oxfordの創業GPにインタビューし、彼らが見据える「次の産業地図」について掘り下げていく。

文 = 吉川絵美

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