ビジネス

2026.05.27 15:15

「アメリカに製造業を呼び戻せ!」〜デトロイト「再工業化」最前線(前編)

「The 23rd」に製造拠点を置くNox Metals社 Courtesy of the Author

このBeacon Manufacturingの開設を主導したのが、デトロイトを拠点とするマイクロVC「640 Oxford」だ。彼らの戦略は明確である。有望なハードウェアスタートアップを全米から発掘し、中西部の産業基盤とつなげることで、投資先企業のモメンタムを加速化させる。そして、プロトタイピングから量産までを一気通貫で支援する。

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Newlabは、Beacon Manufacturingおよび23rd Street Holdingsと連携し、「The 23rd」を立ち上げることで拠点機能をさらに拡張した。これは、スタートアップがプロトタイプから量産へと迅速に移行することを支援するために設計された共有型の製造スペースである。

この施設は、柔軟な製造インフラの不足という重要な課題に対応している。多くのハードウェアスタートアップが直面するのはイノベーションの欠如ではなく、自社の成長に合わせて拡張・適応できる生産環境やサービスへのアクセスの不足である。「The 23rd」はこうしたギャップを埋めることを目的に設計されており、実証段階から本格的な量産体制へのスムーズな移行を可能にする。

この「The 23rd」のインフラを活用し、急速な成長を遂げている企業の一つがNox Metals社である。同社は、AIを活用した金属サプライヤーとして、現代のアメリカの製造業における素材調達および加工の在り方を再定義している。従来の手法と比べて、より迅速かつコスト効率が高く、信頼性の高い形で原材料の金属を生産用の素材へと変換する自動化工場の構築を進めている。2025年には米有名アクセラレータの「Y Combinator(Yコンビネータ)」にも採択された注目スタートアップだ。

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金属サプライチェーンに長年存在してきた非効率性(これはアメリカの再工業化における重大なボトルネックとなっている)に対処することで、Nox Metalsは製造業の最も基盤的な領域の一つをAIによって高度化し、次世代の産業成長を支える重要な担い手としてのポジションを確立しはじめている。

「デトロイトに拠点を置くことは、私たちにとって戦略的な意思決定でした」と、Nox Metals社の創業者兼CEOであるゼイン・ヘングスパーガーは述べる。「この街には、サプライヤー、柔軟な生産施設、そして層の厚い産業人材など、スケールに必要なすべてが揃っています」

シリコンバレーからデトロイトへ──Birdstopの決断

こうした製造基盤に惹かれ、「再工業化」をテーマにしたスタートアップがデトロイトへ拠点を移す動きも出てきている。その一例が、自律型ドローンインフラを手がけるBirdstopだ。
同社は、国家安全保障要件に準拠したドローンと、太陽光発電およびバッテリーシステムを備えた移動型ドローンポーチ(発着拠点)を開発している。これらは遠隔地に設置され、重要インフラの監視や公共安全、災害対応といった用途において、ドローンの自律運用を可能にしている。

Googleでの勤務経験を経て、創業したBirdstopの本拠地をシリコンバレーからデトロイトに移したキース・ミャオ社長  Courtesy of the Author
Googleでの勤務経験を経て、創業したBirdstopの本拠地をシリコンバレーからデトロイトに移したキース・ミャオ社長 Courtesy of the Author

Birdstopはもともとシリコンバレーで創業され、最初の製造拠点はアラバマ州に設立された。Birdstopチームは昨年夏にデトロイトを訪れた後、自動車産業の基盤をドローン生産に応用できる可能性を見出した。

「デトロイトは、シリコンバレーのスピードとアメリカの産業力が交差する場所です」と、BirdstopのCEOであるキース・ミャオ氏は述べている。「この街は近代自動車産業を築き上げました。そして今、ソフトウェアとAIの時代における製造の在り方を再定義しています」

同社は2025年後半に本社をデトロイトへ移転し、現在はダン・ギルバートのベンチャーキャピタルであるDetroit Venture Partnersの支援を受けながら、大規模な自動車関連施設で製品開発を進めている。

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文 = 吉川絵美

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