アビアンの最初の顧客となったシリガー・ホルツにとって、同社のカメラは従来の安全システムを大きく上回る改善となった。「業務の安全性は飛躍的に向上し、監視プロセスの高度化にもつながっている」とシリガーは語る。「火災リスクを完全にゼロにすることはできないが、危険を可能な限り低減することは可能だ。アビアンは、シンプルかつ直感的な形でそれを実現してくれる」
その後顧客は増え、現在では9カ国50拠点にアビアンのカメラが導入されている。同社の試算によると、これまでに回避した火災被害額は約5000万ドル(約79億円)に達するという。また、保険金請求のリスクが低減することで、導入企業が保険会社と有利な条件で交渉できるようにもなった。実際、顧客の1社であるキャンプス・パレットは、バージニア州ディルウィンにある製材所にアビアンのシステムを導入した結果、年間保険料が10%削減された。
ハノーバーは、アビアンの技術が世界中の様々な業界で価値を発揮できると確信しており、現在は事業を急拡大させる段階にあると捉えている。スイスのプレシードファンドであるFounderfulが主導した今回の資金調達は、その成長を加速させるためのものだ。「事業者が本当に信頼できる製品をつくるため、この2年間は自己資金で運営してきた」とハノーバーは語る。「Founderfulから資金を調達した理由は一つ。自分たちのあり方を変えることなく、より多くの市場に、より迅速に、この取り組みを広げていくためだ」
Founderfulのパートナーであるアレックス・シュトックルは、同社が初期段階から多くの顧客を獲得していることは、市場機会の大きさを示していると指摘する。「アビアンのチームは、設立からわずか1年で、米国および欧州の数十社の製造業にサービスを提供し、火災の発生を日々防いでいる。同社のサーマルビジョン技術は、即時の投資回収を可能にするだけでなく、新たな産業インテリジェンスのレイヤーを構築するものだ。これにより、将来的には顧客にとってさらなる活用領域と価値が拡大していくだろう」と彼は語った。


