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2026.05.28 12:00

工場全焼の悪夢をAIで回避 火災被害額79億円を防いだスイス企業の正体

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「起業家は自ら解決すべき課題を探し求めるものだが、私の場合は課題の方が私を見つけてくれた」と、2年前にスイスで「アビアン(AVIAN)」を立ち上げたドリュー・ハノーバーは語る。当時、博士課程に在籍していた彼は、火災予防におけるサーマルイメージングの有用性に関する研究論文を発表した。これをきっかけに、製材企業シリガー・ホルツのCEOであるアーネスト・シリガーから連絡を受けた。シリガーは、業界が直面する重大なリスクへの対応に向け、ハノーバーに協力を求めた。

その数年前、シリガー・ホルツは壊滅的な火災に見舞われ、施設の一つがほぼ全焼していた。引火性の高い微細な粉塵が常に発生する製材業界では、火災は隣り合わせの脅威だ。火種は機械の内部や死角で発生することが多く、検知された時には手の施しようがないケースも少なくない。シリガーは、ハノーバーであれば同様の大惨事を未然に防げると考えたのだ。

アビアンは5月20日、プレシードラウンドで260万ドル(約4億1000万円)を調達したと発表した。今回が同社にとって初の外部資金調達となる。「この業界では、火災は多くの人にとって大きな打撃となる。企業は生産施設を全て失う恐れがあり、顧客の注文に応えられなくなれば従業員の雇用も失われる。さらに、深刻な環境被害につながるリスクもある」とハノーバーは語る。

アビアンが目指すのは、製材業界をはじめ、鉱業、化学、石油・ガス、海運といった火災リスクの高い産業において、こうした災害を過去のものにすることだ。同社は、高感度のサーマルカメラを用いて、施設内で稼働する機械を常時監視する早期警報システムを開発した。カメラはわずかな温度上昇も捉え、即座にオペレーターへ通知することで、火災に発展する前に対処することを可能にする。リスクの高い機械やエリアごとに専用のカメラを設置する。

アビアンの強みは、各システムが独自の技術プラットフォームと連携している点にある。施設内から収集されるデータをAIが学習することで、火災リスクと通常の温度変動を正確に識別し、誤報を防ぐ。また、機械の一部が通常よりも高い熱を出し続けている状態を検知し、部品の摩耗の兆候を捉えることもできる。この予知保全機能により、事業者は故障が発生する前に適切なメンテナンスを実施できる。

「当社のカメラは熱を捉え、データを蓄積することで、何が正常で何が異常かを明確に把握できる」とハノーバーは付け加える。「最優先の目的は火災の防止だ。しかし、事業者がメンテナンス計画を立ててダウンタイムを削減できるよう支援することで、従来はコストセンターと見なされてきた火災対策を、価値を生み出す取り組みへと転換できる」

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編集=朝香実

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