経営・戦略

2026.05.21 09:00

「メディア王」マードックの末息子、対立する父の縄張りに殴り込み──米メディアを約470億円で買収

Bryan Bedder/Getty Images for National Geographic

マードック家の緊迫した家族関係はもはや伝説となっている。彼らの物語は数々のドキュメンタリーやドラマで描かれ、エミー賞を受賞したHBOのドラマ『メディア王 〜華麗なる一族〜』のモデルにもなった。同作をめぐっては、家族のメンバー自身がドラマの脚本家に家族の内輪話をリークしているのではないかという憶測も飛び交っていた。

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ヴァニティ・フェア誌の報道によれば、ラクランはルパートに対し、同作の脚本家たちにリークしたのはジェームズだと告げたという(匿名の情報筋はラクランに代わってこれを否定している)。また、アトランティック誌の報道によると、ジェームズ夫妻は姉のエリザベスに責任があると考えていた。彼女はこの説を否定したが、一時は元夫が脚本家たちにリークしたのではないかと疑っていたようで、後に元夫が何度も制作側に接触を試みたものの、番組クリエイターのジェシー・アームストロングがそれを拒否していたことを知ったという。ルパートと4番目の妻ジェリー・ホールとの間で成立した離婚和解条件の1つには、彼女が同作の脚本家たちにストーリーのアイデアを提供してはならないという規定が含まれていたと報じられている。アームストロングはアトランティック誌に対し、自身と脚本家たちにリークは必要なく、単に報道記事をインスピレーションとして利用しただけだと語った。

同作の最も象徴的なシーンのいくつかは、マードック家の実際の歴史を直接描いたものか、あるいは強く影響を受けたものだ。シーズン1のエピソード『オーステルリッツ』では、一家の家長であるローガン・ロイが子どもたちに「セラピーを兼ねたリトリート」への参加を強制するという場面があるが、これはルパートがオーストラリアにある自身の牧場へ子どもたちを連れて行った実際の旅行に基づいている。ニューヨーク・タイムズ紙は後に、これを「権力のゲームとマニピュレーション(操作)のもう一つの舞台」と表現した。

また、劇中でローガン・ロイが紙箱の山の上に登り、従業員に向けて熱いスピーチを行う場面は、2007年にルパートがコピー用紙の上に立ってウォール・ストリート・ジャーナルの従業員に演説したという有名な話を直接再現したものだ。

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また同作は、マードックが旅先で実際に経験した事故からも着想を得ている。2018年、マードックがカリブ海に浮かぶラクランのヨットで休暇を過ごしていた際、背中に大怪我を負い、ヘリコプターで船から搬送され、後にロサンゼルスの病院に入院した。ドラマでは、ローガン・ロイがヘリコプターの機内で深刻な脳出血や脳卒中に見舞われ、数シーズン後には肺塞栓症で死亡する。

『メディア王 〜華麗なる一族〜』を観るのをどうやって避けているのかとニューヨーク・タイムズの記者に問われた際、ジェームズは「とても簡単なことだ」「家族の出来事をドラマ化することなんて、大昔からある」と語っている。

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翻訳=江津拓哉

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