ニューヨーク・タイムズの記者はネットフリックスのドキュメンタリー番組『ダイナスティ:マードック一族』の中で、マードック家に関するストーリーはどれも、「子どもを育てていたのではない。後継者候補を育てていたのだ」という冷徹でビジネスライクなルパートの言葉を物語っていると語る。
ジェームズの妻キャスリンは、ルパードは「(息子たちを)互いに競い合わせてきたが、勝者は最初からただ1人、ラクランと決まっていた」と語る。また、ジェームズはアトランティック誌に対し、ルパートが「女性差別的」であることから、自身の姉たちが経営者候補に挙げられることは決してなかったと述べている。
出世の階段を上るにつれ、ジェームズは父のメディア帝国を継ぐ有力候補と目されていたが、報道によると、ルパートは自身の「お気に入りの子」であるラクランに後継者となるよう説得し続けた。これはジェームズにとって「顔を引っぱたかれるような屈辱」だったという。この兄弟の関係は、当時ジェームズが経営していた21世紀フォックスをディズニーに売却する際に修復不可能なほど破綻したと言われている。
ラクランはニューヨークでの夕食会でルパートとジェームズに対して激高し、「この取引を進めるなら、あなたたちとは二度と口をきかない!」と叫び、その後に起きたパニック発作のために短期間入院したと報じられている。結局この524億ドル(約8.28兆円)規模の買収は2017年に成立したが、FOXニュースのトップとしてのラクランの地位は保障された一方で、ジェームズには経営陣としてのポストは残されなかった。それでも彼はその後の数年間、ニューズ・コープの取締役に留まった。
2023年、ルパートはラクランを唯一の後継者とするため、数十年前に設定した家族信託を解除しようと動く。ラクランを除く3人の子どもたちは法廷で反撃し、2025年に和解に達するまでその争いは泥沼化していった。この和解により、ラクランのための新しい信託が設定され、2050年まで彼が帝国の支配権を持つことが保証されることとなった。
ルパートの弁護士たちは法廷に立つジェームズに対し、「自分だけの力で何かを成し遂げたことはありますか?」「父親が90歳になった時、なぜあなたは『誕生日おめでとう』という一言も口にしなかったのですか?」「あなたの説明では、問題が起きるのは常に他人のせいだということになりますが、それについてどうお考えですか?」などの質問で彼を容赦なく追及したようだ。


