数百ドルのドローン(無人機)で数百万ドルの戦車を破壊できる。コンテナに隠して運び込んだドローンの群れを使えば、戦略爆撃機すらも破壊できる。ウクライナは実際にこうした方法で戦争を戦うようになった。いま、米国防総省はそれを学ぶために人員を送り込んでいる。
ピート・ヘグセス米国防長官は5月12日、上院の公聴会で、戦闘でのドローンの運用を研究するため米軍の人員をウクライナに派遣していることを認めた。
「攻撃と防御の両面でその(ウクライナの)ドローン戦場から学ぶため、わたしは追加の人員派遣をみずから承認しました」とヘグセスは述べた。ドローンの優位性が現代戦の鍵を握るようになるなか、国防総省がウクライナの戦訓を取り入れることに取り組んでいるとも付言した。
これらの発言は、米政府高官によるキーウ訪問に制限が設けられているのかどうかについて、共和党のミッチ・マコネル上院議員がヘグセスを追及するなかで飛び出した。マコネルはこれに先立つ4月28日、2025年にダン・ドリスコル米陸軍長官とランディ・ジョージ米陸軍参謀総長(当時)が「戦場の戦術と技術の急速な進化」を視察するため、ウクライナを訪問したことに言及していた。ドリスコルはウクライナを「戦争のシリコンバレー」と表現している。
こうした評価は国防総省に限らない。5月14日に公開されたFOXニュースのインタビューで、マルコ・ルビオ米国務長官はウクライナ軍を欧州で「最も強力で、最も有能な」軍隊と呼んだ。さらに、この戦争に強いられてウクライナは新たな戦術や技術、装備を開発し、「ハイブリッド型の非対称戦」を生み出しているとも指摘した。
ウクライナのドローン戦が教えるもの
筆者のインタビューに答えたウクライナ軍人たちは、限られたリソースで非対称戦を戦うなか、手に入るものは何でも使いながら迅速に適応しなくてはならなかったと語っている。市販のドローンもそのひとつだった。ウクライナ軍第110独立機械化旅団の無人システム大隊に所属するドローン操縦士、ボフダン・ハルカビーは、ウクライナのドローン生産を加速させることになったきっかけとして、2023年後半から2024年初めにかけての東部ドネツク州アウジーウカをめぐる攻防戦を挙げている。この戦いのさなか、ウクライナ軍は米国の支援遅滞によって深刻な砲弾不足に陥った。



