米メディアのアクシオスは3月、ウクライナ当局が以前、イランで開発されたシャヘド攻撃ドローンを撃墜するための実戦証明済み技術の提供を米国側に持ちかけていたと伝えた。中東で米軍や米国の同盟国・パートナー国を守ることができるとも説明していたという。しかし、この提案は当時退けられ、イランとの現在の紛争が始まってから米国はウクライナに対ドローン支援を要請したとされる。
ウクライナで義勇兵部隊「チョーズン・カンパニー」を率いていた米国人の元戦闘員ライアン・オレアリーは筆者の取材に、ウクライナはドローン戦の経験を世界のどの軍隊よりも多く蓄積しているが、その知見の大半はまだ西側と共有されていないと指摘した。
「ウクライナはこの分野(ドローン戦)で実弾による『教室』の場になっています」とオレアリーは言う。そのうえで「FPVドローンの脅威に対する訓練を受けていない、あるいはそれを攻撃に用いる方法を学んでいない米兵は、出さずに済んでいたはずの損害を被ることになるでしょう」と警鐘を鳴らした。
やはりウクライナで戦った経験を持つ元米陸軍特殊部隊員(グリーンベレー)のブライアン・ピケンズは筆者のインタビューで、ウクライナと西側諸国の戦場経験の差は北大西洋条約機構(NATO)の多くの軍隊が認識している以上に大きいとの見方を示した。ウクライナの経験の価値は戦場での生存術をはるかに超えるものだとも説明した。
「16回におよぶ戦闘派遣の経験があった自分でさえ、戦い方を学び直さないといけませんでした」とピケンズは振り返る。「教えてくれたのはウクライナ側の仲間たちでした」
彼によれば、機動や指揮統制といった面での伝統的な基本原則は引き続き重要だった一方、ドローンシステムの統合や探知の回避、異なる距離の攻撃の連携などに関しては、ウクライナ軍は西側のほとんどの軍隊のはるか先を行っていた。
「西側の軍人たちをより実戦的に鍛え上げるために、ウクライナの助力が必要です。システムの運用法や、それに対する防御法を教えてもらう必要があります」とピケンズは語り、こう警告した。「ロシアがウクライナで用いているような戦術や技法、手順が米国に対して使われることになれば、兵士数人を失う程度では済まないでしょう。部隊単位で壊滅することになります」


