北米

2026.05.21 07:00

ウクライナからドローン戦を学ぶ米軍 中東に戦術拡散、不用意なイラン地上戦は損害必至

ウクライナ東部ハルキウ州クプヤンシク方面で2024年6月2日、FPVドローンの飛行訓練を行うウクライナ軍第116独立機械化旅団のドローン操縦士(Arsen Dzodzaiev/Global Images Ukraine via Getty Images)

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は3月、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)のインタビューで、ヨルダンにある米軍基地の防衛を支援するため、ウクライナが迎撃ドローンとドローン専門家チームを派遣したことを明らかにした。米国からの支援要請を受けて「即座に対応した」という。

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NYTの記事が公開された4日後、ドナルド・トランプ米大統領は、米国がウクライナの支援を必要としているという考えを公然と否定した。3月13日、FOXニュースのインタビューで「ドローン防衛で彼ら(ウクライナ)の助けは必要ありません」と話した。「われわれは誰よりもドローンに詳しい。現に、世界最高のドローンを持っています」と主張した。

米国はこれまで、FPVドローンよりもはるかに高価な無人システムに巨額の資金をつぎ込んできた。1機およそ1600万ドル(約25億円)とされるMQ-9リーパー無人攻撃機はそのひとつだが、ABCニュースは3月、米当局者の話としてイランに対する作戦中に「12機超」が失われたと報じている(編集注:米議会調査局が5月13日に公開した最新の損害集計によると、リーパーの累計損失数は24機にのぼっている。その出典となっているCBSニュースの報道ではリーパーの価格を「およそ3000万ドル(約48億円)かそれ以上」と伝えている)。

米軍でリーパーを運用した経験を持つサム・ナヒンズは筆者の取材に応じ、米軍によるイランに対するどのような地上作戦も、FPVドローンに関する徹的的な訓練なしではきわめて危険なものになると警告した。「大きな損害を出さずにイランに地上部隊を投入したいというのなら、FPVドローン戦を完全に習得するしかありません」

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国防総省がウクライナのドローンに関する知見を欲しがる理由

米政府はウクライナのドローン産業にもアクセスしたがっている。CBSニュースが5月13日に報じたところによると、両国政府は新たな防衛協定に向けた覚書を起草し、それにはウクライナが米国に軍事技術を輸出したり、米国企業との合弁でドローンを生産したりすることを可能にする内容が盛り込まれているという。CBSは、ウクライナのあるドローンメーカーが2026年に低コストのFPVドローンを1社で300万機以上生産することを計画しているのに対して、米国の生産数は2025年に全体で30万機にとどまっている点にも触れている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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