それでは、あるテクノロジーが60年もの間、トップの地位を維持し続けている理由は何なのだろうか。テクノロジー業界では日々、新たな発明や製品が生まれている。テクノロジーの地平には、失敗作や、かつては人気を博したものの、今では誰も覚えていない製品が溢れている。1本のマイクがどうして60年間も生産を続けて来られたのだろうか?
SM58の長寿は、そのオリジナルの設計に由来する。このマイクはライブサウンドのために設計された。つまり、極めて耐久性が高く、ほぼどのような条件下でもクリアで自然なボーカルを再現できなければならないということだ。ライブパフォーマンスにおいて、信頼性はおそらく、すべての機材で最も重要な要素だ。
SM58は、ハウリングを防ぎ、周囲の雑音を低減する単一指向性(カーディオイド:正面からの音を最も拾い、周囲の雑音を抑える特性)を備えている。エアー式ショックマウントシステムと頑丈な構造により、ライブツアー中の酷使にも耐えられる。当初の設計は、パフォーマーや現代的な制作システムのニーズに応えられるように、数十年の間に様々な点で調整や改良が加えられてきたものの、その外観やサウンドは60年前とほとんど変わっていない。
「60年も価値を保ち続け、しかも業界のベンチマークとなる製品は、ごく僅かしかありません」と、シュアのクリス・シュヴィンク社長兼最高経営責任者は主張する。「SM58が世代を超えて信頼されてきたのは、それが一時の流行ではなく、毎晩行われるすべてのショーで、確実に機能してきたからです」
数十年にわたり、SM58は大統領の演説から世界的なコンサートまで、様々な場面で舞台に登場してきた。馴染み深い一目でそれとわかる球形のグリルは、ライブパフォーマンスの象徴となり、アーティストが観客とつながるための手助けをしている。アマチュアのオープンマイクでも、世界中にテレビ中継されるコンサートでも、それは変わらない。


