フォーブス『米国で最も価値ある上場ファミリー企業』2026年版
以下に、フォーブス『米国で最も価値ある上場ファミリー企業』2026年版を掲載する(時価総額は5月1日時点のもの)。時価総額が高い順にベスト25をまとめたものだ。
1.ウォルマート
○時価総額:1兆ドル(約158兆円)○本社:アーカンソー州ベントンビル○一族:ウォルトン家
サム・ウォルトンは1962年、アーカンソー州ロジャーズにウォルマート1号店を開き、小売りのあり方を大きく変えた。世界に1万1000店舗を展開するこの巨大企業は2026年2月、実店舗を展開する小売企業として史上初めて、時価総額が1兆ドル(約158兆円)に達した。ウォルトンの相続人は現在も、売上高7130億ドル(約112.65兆円)の同社株式の44%を保有している。サムの息子であるロブ・ウォルトンは、父が亡くなった1992年に会長職を引き継ぎ、2015年にはその職を義理の息子グレッグ・ペナーに譲った。
2.コムキャスト
○時価総額:971億ドル(約15.34兆円)○本社:ペンシルベニア州フィラデルフィア○一族:ロバーツ家
ラルフ・ロバーツ(2015年死去)は1963年、ミシシッピ州の小規模な加入者向けテレビシステムを買収し、それをケーブルテレビ大手へと育てた。息子のブライアン・ロバーツは、2000年代初めに会長兼CEOに就任し、その後、AT&Tブロードバンド、NBCユニバーサル、英放送局Skyを買収した。ロバーツ家は、売上高1240億ドル(約19.59兆円)のコムキャスト株式の1%を保有するにすぎないが、議決権の33%を握っている。
3. HCAヘルスケア
○時価総額:961億ドル(約15.18兆円)○本社:テネシー州ナッシュビル○一族:フリスト家
医師のトーマス・フリスト・シニア(1998年死去)は1968年、息子のトーマス・フリスト・ジュニアとともにHospital Corporation of America(現在のHCAヘルスケア)を共同創業した。ナッシュビルに本拠を置く同社は現在、米国と英国で190近い病院を保有している。87歳のトーマス・ジュニアとその一族は、売上高756億ドル(約11.94兆円)のHCA株式の32%を保有している。息子のトーマス・フリスト3世とウィリアム・フリストは取締役を務めている。
4.マリオット・インターナショナル
○時価総額:940億ドル(約14.85兆円)○本社:メリーランド州ベセスダ○一族:マリオット家
世界143カ国で9700軒の施設を展開するホテル大手の始まりは1927年にさかのぼる。創業者のJ・ウィラード・マリオットとアリス・マリオット夫妻はこの年、ワシントンD.C.で9席のみの小さな飲料スタンドを開いた。2人は1957年にホテル事業に進出し、その子孫は現在、売上高262億ドル(約4.14兆円)のマリオット・インターナショナル株式の17%を保有している。元会長兼CEOのビル・マリオットの息子で、創業者夫妻の孫にあたるデービッド・マリオットは、2022年から取締役会議長を務めている。
5. エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ
○時価総額:822億ドル(約12.99兆円)○本社:テキサス州ヒューストン○一族:ダンカン家
ダン・ダンカン(2010年死去)は1968年、天然ガスリキッドの卸売販売会社としてエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズを立ち上げた。同社は現在、27州にまたがる5万マイル(約8万キロ)超のパイプラインを保有している。ダンカンの4人の子どもは均等に株式を相続し、現在は4人合わせて、売上高526億ドル(約8.31兆円)の同社株式の32%を保有している。娘のランダ・ダンカン・ウィリアムズは、取締役会長を務めている。
6. シンタス
○時価総額:679億ドル(約10.73兆円)○本社:オハイオ州シンシナティ○一族:ファーマー家
サーカスを解雇された元パフォーマーのドック・ファーマーとアメリア・ファーマーは、大恐慌期に使用済みのぼろ布を洗濯して販売する事業を始めた。孫のディック・ファーマー(2021年死去)は1959年に事業を引き継ぎ、その後40年近くをかけて大手企業へと育て上げた。現在のシンタスは職場用ユニフォームのレンタルと商業施設向け清掃サービスを手がけ、売上高は103億ドル(約1.63兆円)に達する。ディックの息子スコット・ファーマーは18年間CEOを務めた後、2021年に退任したが、現在も会長にとどまっている。ファーマー家はシンタス株式の14%を保有している。
7. パブリック・ストレージ
○時価総額:529億ドル(約8.36兆円)○本社:カリフォルニア州グレンデール○一族:ヒューズ家
B・ウェイン・ヒューズ・シニア(2021年死去)は1972年、パブリック・ストレージの1号施設を開設し、同社を世界最大のトランクルーム施設保有会社へと育て上げた。拠点数は現在3000カ所を超える。ヒューズは2002年にCEOを退任し、2011年に会長職も退いた。2人の子どもであるタマラ・グスタフソンとB・ウェイン・ヒューズ・ジュニアは、売上高48億ドル(約7584億円)の同社株式の10%を保有している。グスタフソンは取締役を務めている。
8. フォード・モーター
○時価総額:474億ドル(約7.49兆円)○本社:ミシガン州ディアボーン○一族:フォード家
ヘンリー・フォードが1908年に「モデルT」を発売し、自動車を大衆に広めてから、まもなく120年になる。現在彼の子孫は、売上高1870億ドル(約29.55兆円)の同社株式のわずか2%を保有するにすぎないが、議決権の40%を握っている。ひ孫のウィリアム・クレイ・フォード・ジュニアは1999年からエグゼクティブ・チェアマンを務めている。
9. オールド・ドミニオン・フレイト・ライン
○時価総額:439億ドル(約6.94兆円)○本社:ノースカロライナ州トーマスビル○一族:コングドン家
アール・コングドン(1950年死去)とリリアン・コングドン(1993年死去)は1943年、オールド・ドミニオン・フレイト・ラインを創業した。同社はバージニア州リッチモンドとノーフォークを結ぶ小口混載輸送(LTL)サービスを手がけた。第2次世界大戦中、軍事基地間の貨物輸送需要が高まったことで、同社は急速に成長した。現在、同社は北米最大級のLTL輸送会社の1つとなっている。創業者の孫にあたるデービッド・コングドンはエグゼクティブ・チェアマンを務めている。彼とその一族は現在も、売上高55億ドル(約8690億円)の同社株式の10%を保有している。
10. ラスベガス・サンズ
○時価総額:356億ドル(約5.62兆円)○本社:ネバダ州ラスベガス○一族:アデルソン家
カジノ業界の大物シェルドン・アデルソン(2021年死去)は1988年、歴史あるサンズ・ホテル・アンド・カジノを買収した。その後、同施設を取り壊し、1999年にベネチアン・ラスベガスを開業した。そこを足がかりに、アジア各地でもラスベガス型のカジノを展開していった。アデルソンの妻ミリアムとその他の一族は、同社株式の58%を保有している。義理の息子パトリック・デュモンは会長兼CEOを務めている。
11. エスティローダー
○時価総額:287億ドル(約4.53兆円)○本社:ニューヨーク州ニューヨーク○一族:ローダー家
エスティ・ローダーは1946年、自身の名を冠した美容ブランド帝国を創業した。息子のレナード・ローダー(2025年死去)は、約40年にわたり社長、CEO、エグゼクティブ・チェアマンを歴任し、2009年に退任した。その間に、英フレグランスブランドのジョー・マローンやカナダ発のメイクアップブランドM・A・Cなどを買収し、同社を国際的な有力企業へと押し上げた。現在ローダー家は株式の35%を保有し、議決権の84%を維持している。レナードの息子ウィリアム・ローダーは、父の後を継いでエグゼクティブ・チェアマンを務めた後、2025年に退任し、現在は取締役会長を務めている。
12. ローリンズ
○時価総額:264億ドル(約4.17兆円)○本社:ジョージア州アトランタ○一族:ローリンズ家
大恐慌期の農家の息子だったウェイン・ローリンズ(1991年死去)とジョン・ローリンズ(2000年死去)の兄弟は、地方ラジオ局の経営で早くから成功を収めた。その後、1964年に害虫駆除会社オーキンを6200万ドル(約97億9600万円)で買収し、害虫駆除事業へと軸足を移した。現在、オーキンはローリンズ最大のブランドであり、売上高で北米最大の害虫管理・駆除会社となっている。ウェインの息子ゲイリー・ローリンズは2001年から2022年までローリンズのCEOを務め、現在は名誉会長を務めている。ローリンズ家は、信託へのアクセスをめぐる9年にわたる一族内の対立を2019年に和解で終結させた。現在は、売上高38億ドル(約6004億円)の同社株式の38%を保有している。


