いまだに答えが出ていない、「くすぐり」に関する5つの疑問
以上述べてきたような学問的進展にもかかわらず、現状を率直にまとめると、ハードウェア(体の組織や神経回路)の一部は特定できたものの、ソフトウェア(なぜ、どのように作動するのか)については依然として理解できていない、ということになる。
『Science Advances』誌に掲載された2025年のレビュー論文において研究者たちは、未解明の謎を5つの問いに整理した。どれも単純に聞こえるが、いずれも満足のいく解決には至っていない。
1. 体の部位によっては、他の部位よりもくすぐったいのはなぜか?
脇の下、脇腹、足の裏は、特にくすぐったいことで知られている。しかし、なぜこれらの部位だけがそうなのかを十分に説明できる理論は存在しない。
どの特定の感覚受容器が、ガルガレシス(くすぐったさ)を媒介しているのかもわかっていない。おそらく、低閾値および高閾値の機械受容器、場合によっては痛覚受容器が関与していると考えられるが、その末梢経路についてはいまだに解明されていない。
2. 我々は本当に、くすぐられるのが好きなのだろうか?
これは、見た目よりも複雑な問題だ。『Neuroscience Research』で2025年に掲載された別のレビュー論文で、研究者たちは、くすぐられることによる感情の二面性に特に重点を置いた。彼らは次のように説明している。マッサージが純粋な快楽であるのとは異なり、激しいくすぐりは、純粋な快楽そのものではない。そこには、わずかではあるが、現実的な脅威や予測不可能性という要素が含まれている――そして逆説的だが、それこそがくすぐりを楽しいものにしているのかもしれない。
結局のところ、遊びは、純粋に心地よいものばかりであることはめったにない。ほんの少しの緊張感こそが、遊びの醍醐味なのだ。
3. なぜ人は、自分自身をくすぐることができないのか?
感覚の減衰メカニズムについては先述したが、その正確な神経メカニズムについては依然として解明されていない。興味深いことに、自発的な動きと、その結果生じる触覚のあいだにロボットをはさみ、わざと遅延を発生させると、被験者がその感覚をわずかに「くすぐったい」と感じるようになることを、研究者たちは発見した。脳の予測がちょうど良い具合に乱されるかたちで、感覚が脳に伝わるようになったわけだ。この謎の解明は目前に迫っているが、まだ完全には解明されていない。
4. くすぐられてもまったく反応しない人がいるのはなぜか?
くすぐりに対する感受性は個人差が非常に大きいが、その原因は基本的に解明されていない。遺伝的要因があるようだが、具体的なメカニズムは不明だ。


