経済的リターン、社会的リターン
「品格」のある使い方とはいったい何か。裙本はそれを「意図をもった使い方」として、「経済的リターン」を生むための投資と「社会的リターン」を生むための投資のふたつに分類する。
経済的リターンは、「未来からの逆算」を重視し将来的に伸びると確信をもった企業や資産に投資するキャピタルゲインと、手堅くキャッシュフローを得るためのインカムゲインに分けている。例えば、キャピタルゲインでは、5年ほど前に時価総額がまだ7兆円程度だったスペースXに約2億円投資した。また、価値の保存手段としてビットコインにも早くから多額の投資を行っている。インカムゲインについては、リスクを取らずに優良な社債などを保有する。
一方で、「経済的リターンの最大化は終わりのないゲームで、それだけに人生を使うのは豊かとは言えない」と指摘する。裙本が重きを置いているのが、「社会的リターン」だ。その象徴が、1982年生まれの起業家らと立ち上げた「1982インパクトファンド」だ。このファンドは社会課題解決を目指す事業にだけ出資し、出資者には経済的リターンを一切還元せず、もしリターンが出ても全額が次の事業へ再投資される。現在裙本は、がんの放射線治療の効果を高める新薬を開発する米国の企業にファンドおよび個人それぞれから1億円ずつを出資し、自身も無報酬で社外取締役に就任して支援を行っている。
社会的リターンを生む個人の活動としては2023年、故郷の兵庫県明石市に1500万円を寄付した。「僕の人格形成の土台となったのは、小学校から大学まで続けた部活動の剣道です。ずっとこの恩返しをしたいと思っていました」。このお金は、教員の負担となっている中学校の部活動指導を地域の指導員に委任するための財源として活用されている。
KEY WORD|1982インパクトファンド
1982年生まれの起業家らが中心となり、持続可能なソーシャルビジネスの創出を目的に設立。「出資者には経済的リターンは一切還元しない」というルールを掲げ、利益が出た場合も全額が新たな社会課題解決のために再投資される。金メダリストの北島康介(IMPRINT社長兼CEO)なども参画。


