資産運用

2026.05.27 18:15

バフェットやソロスら偉大な投資家たちに共通する『納得の習慣』

阿部はその足で日本に飛ぶ。不動産鑑定士を雇って調査した結果を、ニューヨークに戻ってソロスに報告したがソロスは「これじゃダメだ」と納得しない。阿部は再び日本に飛ぶ。「今度は、とにかくいろんな人に会って、僕なりに得た結論を国際電話で報告したんです。『超円高の今、土地の値段を高く保つのは日本政府としての国策なんです』と」。ソロスは一言、「I accept it(わかった)」と応じて、その鉄道会社の株を全部買うよう指示した。もちろん全部買うことはできなかったが、かなりの株を買った。その後、瞬く間にテンバガーに成長した。

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「要は、単なる数字の積み上げではなく、現場の直感にもとづく“確証”が欲しかったのだと思います。ソロスさんと日本に出張したこともありますが、例えば日銀の人と会うにしても、幹部クラスではない。部長・課長クラスの現場に近い人と会うことを大事にしていた印象があります」

つまり、「納得できるポイント」が、リンチもソロスも数字だけでなく、「自らの仮説を検証するための現場の情報」といえるだろう。そのソロスがもうひとつ、大事にしていた「習慣」があるという。

「運動です。日本に出張したとき、僕が最初にやった仕事は彼のためにテニスコートと対戦相手を用意することでした(笑)。スキーもプロ級の腕前で、これも日本でよくやっていました。ホテルにいるときも、じっとしていることはありません。部屋に呼ばれていくと、よく上半身裸、下はパンツだけで腕立て伏せをしていました」

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いわゆる成功者には、ソロスのような「アスリート」型の人物が少なくない。ゲームに勝つためにどのようなトレーニングを積むのが効果的か、アスリートならではの「逆算の思考」だ。投資で勝つための思考にも生かされているのだろう。

「オーナー」として企業を愛するバフェット流

阿部が「自分にとってのスーパースター」と語るウォーレン・バフェットとの親交が始まったのは2018年。初対面はバフェット率いるバークシャー・ハサウェイの本拠地、ネブラスカ州オマハにあるバフェットお気に入りのレストラン。名物の「Tボーンステーキ」を食しながら、阿部は遠慮がちにこう切り出した。

「体重が気になるので、私はダイエットコークにさせていただきます」

するとバフェットは破顔して、こう応じた。「Thank you! ダイエットコークのほうがチェリーコークより10%も粗利が高いんだよ」。バフェットが全資産の3分の1をコカ・コーラ株に集中投資して巨万の富を得たことは知られているが、この短いやりとりが強く阿部の印象に残ったという。

「株主というよりは、オーナーのような発言です。彼にとって投資とは、自分が信頼する企業を保有する感覚なんです。その企業が唯一無二のブランドビジネスで収益を上げ続ければ、おのずと“オーナー”である自分にも富が蓄積されていくという考え方です」

ウォーレン・バフェット|バークシャー・ハサウェイ会長

生年月日:1930年8月30日
投資哲学:自分に課した原理原則を忠実に守り、当たり前のことを当たり前に実行し続ける。
投資実績:「オマハの賢人」の異名を持つ、現代最高の投資家。バークシャー・ハサウェイのCEOを2025年末に退任し、会長職へ。同社の2024年度営業利益は前年比27%増の474億ドル(約7兆1,200億円)と過去最高を更新、時価総額は1兆800億ドル(約162兆円)に達し米国7位の上場企業となった。年間納税額268億ドルは史上最高を記録。生涯寄付額は683億ドル(約10.4兆円)と史上最多。現在も世界で10番目に裕福な人物。

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文=伊藤秀倫 イラストレーション=フィリップ・ペライク

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