企業利用で躍進のFitbit アップルウォッチ以上の占有率

Fitbitの共同創業者でCEOのジェームス・パーク(写真右)。(Photo by Eric Thayer/Getty Images)




ウェアラブルデバイスのFitbit社が企業向け利用を活性化させている。同社の顧客には、新たにバークレイズとドメイン販売企業GoDaddy、BMCソフトウェアが加わった。

Fitbitによると、現在までに米国の上位500社のうち約50社が、同社の顧客企業となっている。Fitbitのジェームズ・パークCEOは、企業向けウェルネス事業は2019年までに110億ドル(1.3兆円)規模にまで拡大するとの見通しを示している。

Fitbitの製品を購入する企業は、従業員がデータ共有に同意すれば、それを追跡・記録することができる。つまり、経理部の特定の社員の一週間当たりの歩数を個別に確認することもできるし、部内の従業員7人の活動レベルを全体として把握することもできる。

個人の行動を追跡することは、監視しているようで気味が悪いと思われるかもしれない。だが、石油会社大手BPは従業員たちの歩数を計測。翌年の健康保険料引き下げの対象となるかを判断している。歩数が多くなるほど、保険料が下がる仕組みだ。

Fitbitによると、同社は今年第3四半期に20社と契約を締結した。一部企業は社員に配布するため大量に同社のウェアラブル製品を購入。従業員に大幅な割引価格で購入を勧めるため(差額分は雇用主が負担)、ウェブサイトを新設した企業もあったという。

バークレイズは自社が費用の一部を負担し、従業員7万5,000人以上にFitbitの製品を提供。その後、世界各地におよそ14万人いる従業員にも提供する予定だ。また、米小売り大手ターゲットも従業員33万人以上に同社の製品を提供する。

Fitbitの幹部、エイミー・マクドナーによれば、同社の顧客の中には「睡眠コンテスト」を実施している企業もある。ハーバード大学医学部の調査の結果、米国では不眠症により、平均的な従業員の生産性が勤務日数にして年間11.3日、金額にして同2280ドル(約28万円)失われており、国全体としては年間およそ623億ドル(約7.5兆円)の損失を被っていることが明らかになっている。

Fitbitは9月、HIPAA(米国医療保険に関する法律)認証を取得したと発表。認証取得を発表した日、同社の株価は9%上昇した。

パシフィック・クレスト証券のアナリストは、同事業が売上高1億ドル(約121億円)規模に達すると予想。「さらに大幅な成長の可能性もある」と述べている。アップルやサムスンのスマートウォッチとの競争があり、よりリスクの大きい消費者市場での競争にさらされるFitbitにとって、同事業は防波堤でもある。様々な機能を持ち、歩数の計測もできるスマートウォッチは、Fitbitの利益を圧迫する可能性もあるのだ。

さらに、Fitbitの最大のライバルであるJAWBONE(ジョウボーン)も従業員の行動を追跡・記録する「アップ・フォー・グループ」サービスの提供を開始している。

調査会社IDCが今年8月にまとめた推定値によると、世界のウェアラブル製品市場で最大のシェアを獲得しているのは、占有率24%のFitbitだ。今年第2四半期の販売個数は、440万個に上ったとみられる。僅差で2位につけたのは、シェア20%を占有するアップル。同期のスマートウォッチの販売個数は、360万個あまりだった。
Fitbitの株価は10月20日の時間外取引で37.38ドルを付けた。今年6月の上場以来、同日までに26%上昇している。

文=パーミー・オルソン(Forbes)/ 翻訳編集=上田裕資

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