太陽の活動はここ数カ月間、小規模な磁気嵐の発生はあるものの比較的静かな状態が続いていた。しかし、数日中に状況は一変するかもしれない。数年ぶり最大級の黒点群が太陽の裏側で見つかったのだ。
この黒点群を発見したのは、地球からは見えない太陽の裏側を観測できる欧州宇宙機関(ESA)の太陽探査機「ソーラー・オービター」である。地球から見た太陽は約27日周期で1回転しているため、裏側で観測された事象はまもなく地球側を向くことになる。
黒点とは何か
米航空宇宙局(NASA)の説明によると、太陽の黒点は強烈かつ複雑な磁場が存在する領域で、フレアと呼ばれる大規模な爆発現象の発生源となっている。5月18日にソーラー・オービターのX線観測機器によって撮影された太陽裏側の黒点群では、すでに数回の太陽フレアが観測されている。
宇宙天気情報サイトSpaceWeather.comは、5月15~16日に大規模な「X1クラス」のフレア2回と、それより規模が小さい「Mクラス」のフレア12回が検出されたと伝えている。それ以降はフレアの発生は検出されていない。
太陽フレアは強烈な放射線の爆発現象でもあり、放出された放射線(電磁波)は光速で宇宙空間を移動する。また、余波として、荷電粒子の巨大な雲が噴出する「コロナ質量放出(CME)」と呼ばれる現象も観測されている。CMEは電磁波よりも速度は遅いものの、地球の磁場と相互作用することで地球上に磁気嵐を引き起こす可能性があり、これがしばしば北極や南極でオーロラを発生させる。
火星からも観測された黒点
今回発見された巨大な黒点群は5月22日以降に地球側を向き、活発な状態が続くと予想されている。この黒点群の存在は、火星で活動中のNASAの探査車「パーシビアランス」が撮影したテスト画像にも写っていた。
NASAによればパーシビアランスは火星大気中の塵の量を評価するため、搭載されたカメラシステム「マストカムZ」で頻繁に太陽の画像を撮影しており、その過程でしばしば黒点を捉えている。
今回の太陽活動の活発化は、約11年周期で変動する太陽の磁気活動が最も激化する「極大期」から「下降期」へと移行する中で起きている。米海洋大気庁(NOAA)とNASAの科学者らは太陽の活動が2024年10月に極大期に入ったとみているが、極大期の後半にも激しい磁気活動が起こる可能性がある。
ソーラー・オービターとは
ESAの太陽探査機ソーラー・オービターは、太陽の最も近くからクローズアップ画像を撮影することを目指して2020年2月に打ち上げられた。2025年6月には、人類史上初となる太陽の南極の鮮明な画像を地球に届けた。
これら一連の貴重な画像は、同年3月16~17日に撮影されたもの。ソーラー・オービターが太陽の赤道面から15度傾いた周回軌道に入り、初めて南極をカメラの視野に捉えることに成功した。それまで撮影された太陽の画像はほぼすべて、地球上または地球近傍からの視点で捉えたものだけだった。



