ノンアルコールを専門とするイベント・旅行企業のゼロプルーフ・エクスペリエンスズ(Zeroproof Experiences)の創業者スージー・ストリールマン(Susie Streelman)も、アルコールフリーのイベントや旅行体験を通じて消費者側に同じ変化を見てきた。ドイツでのノンアルコールワイン試飲旅行もその1つである。
「以前とはまったく別の体験だ」とストリールマンは言う。「ノンアルコールワインの品質が大きく改善し、人々の反応にもそれが表れている。好奇心が増し、熱量も高い」
これは重要な変化である。このカテゴリーの最大の障害は、認知の不足ではなく信頼性だったからだ。
なぜノンアルコールワインは成長しているのか
より広くノンアルコール市場は、すでに一過性の流行ではないことを示している。市場調査会社のニールセンIQ(NielsenIQ)は2025年8月の報告で、米国のオフプレミス(小売店やスーパーなどの店頭販売)におけるノンアルコールのビール、ワイン、スピリッツの売上が9億2500万ドル(約1470億円)に達し、前年比22%増となったと明らかにした。同カテゴリーの市場規模は、2025年末までに10億ドル(約1590億円)を超える見通しだ。さらに重要なのは、ノンアルコール購入者の92%がアルコール飲料も購入している点である。
これは飲料業界に古くからある前提、すなわちノンアルコール製品は主に完全に酒をやめる人のためのものだ、という見方と相反する。実際には、多くの消費者が「飲み方のレパートリー」を広げている。ある夜はシャンパーニュを選び、次の夜は炭酸水を、そしてワインの儀式性は欲しいが翌日まで残る影響は避けたいときにノンアルコールのスパークリングロゼを選ぶ、といった具合である。
マンドワイラーはレストランでも同じパターンを目にするという。彼女の見立てでは、需要は禁酒者だけのものではない。ワインを理解している人が、いつ、どのように飲むかをよりコントロールしたいと考えていることが背景にある。
「私が見ている限りでは、従来のワイン愛飲者がアルコール摂取量を抑えたいというニーズが大きい」とマンドワイラーは言う。「飲むか飲まないか、白黒をつける時代は過去のものになったと思う」
ストリールマンも、消費者側から同じ変化を見ている。
「消費者側では、コミュニティのノンドリンカーだけでなく、ワイン特有の体験を手放すことなく節酒したい従来型のワイン愛飲者からも関心が高まっている」と彼女は言う。
これこそが、このカテゴリーの最大の訴求点である。ノンアルコールワインが勝っているのは、皆が酒をやめるからではない。柔軟性を求める人が増えているからだ。
「夜の始まりにNAのスパークリングワインを飲み、メインディッシュには赤ワインを1杯に移る、そうなれば双方にとって良いことづくめだ」とマンドワイラーは語る。
IWSR(国際アルコール飲料シンクタンク)の2026年1月データもこれを裏付ける。世界のノンアルコール代替(アナログ)製品の数量は2025年に推計9%増となり、2024〜2029年に36%成長すると予測されている。ノンアルコールのワインおよびスピリッツ購入者のうち40%は、健康的なライフスタイルが購入理由の1つだと答えた。


