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2026.05.24 11:00

スペースXの衛星100万基計画に世界が猛反対する理由、宇宙ゴミの深刻な脅威

地球とその周りに存在する宇宙デブリ(stock.adobe.com)

地球とその周りに存在する宇宙デブリ(stock.adobe.com)

イーロン・マスクが累計100万基規模の人工衛星を地球周回軌道に打ち上げる構想を打ち出し、世界を驚かせた。その一方で、各国の宇宙機関トップや宇宙船運用事業者がこの構想に反対することは確実だ、と著名な宇宙研究者は語る。

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米連邦航空局(FAA)が100万基規模のスペースXの「メガコンステレーション」の打ち上げを承認する可能性を少しでも示唆すれば、「衛星運用事業者、天文学者、保険会社、各国の宇宙機関、防衛組織、そして各国政府から即座に強い反対の声が上がるだろう」。そう語るのは、現代の宇宙産業の急速な拡大と、それが国家安全保障や国際関係に及ぼす影響を研究してきたブライアン・ハーレー(Brian Hurley)だ。

「反対するのは中国やロシアだけではない」と、カナダのデジタルメディア『ニュー・スペース・エコノミー(New Space Economy)』を発行するハーレーは言う。

「米国や欧州の運用事業者からも反発の声があがる可能性が高い。なぜなら、リスクはシステムを提案しているスペースX内部にとどまらないからだ」

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「100万基の人工衛星を軌道に投入すれば、衛星間衝突の可能性が急増する」とハーレーはインタビューで語った。

「100万基規模になると、わずかな故障率でも絶対数としては大きくなる。仮に成功率が99.9%だとしても、1000基の人工衛星に故障が発生する計算だ」

衝突回避のための軌道制御能力を失った故障衛星は、近くの他の衛星に衝突し、連鎖的な衝突を引き起こすおそれがある。

低軌道の混雑した領域より高い軌道に打ち上げられた場合でも、リスクは回避できない。「100万基の人工衛星がより高く、より長寿命の軌道に存在したら、低軌道に比べてはるかに危険だ。故障した宇宙船やデブリが数十年、あるいは数世紀にわたってそこに留まる可能性があるからだ」とハーレーは指摘する。

制御不能な人工衛星が発生する確率は「太陽嵐やソフトウェアの障害、推進系の故障、エフェメリス(軌道暦:天体の予測位置データ)データの誤り、サイバー攻撃、製造上の欠陥、打ち上げ時の展開異常、そして通常の経年劣化によって高まる」と彼は付け加える。

スペースXの新規株式公開(IPO)が噂される中、創業者であるイーロン・マスクは同社の公式サイト「スペースX・アップデート(SpaceX - Updates)」に衝撃的なメッセージを投稿し、「100万基の衛星コンステレーション」を構築する構想を明らかにした。イーロン・マスクはこの計画が最終的に「人類のマルチプラネタリー(Multi-Planetary:複数惑星居住)な未来」を推進すると宣言した。

地球上で最も裕福な航空宇宙界の覇者によるこの投稿は、大陸を越えて宇宙業界に衝撃を与えた。

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