地球を超巨大な人工衛星の雲で取り囲むことは「故障した宇宙船をはるかに大きな長期的脅威にする」とブライアン・ハーレーは言う。
「1つの事業者が打ち上げた100万基の人工衛星が軌道を埋め尽くせば、近接または交差する軌道を使用する他のすべての事業者がそのリスクの一部を負うことになる」
これほど多くの人工衛星を地球周回軌道に打ち上げ、他の宇宙船を危険にさらすおそれがあるという見通しだけでも、世界中を巻き込む政治的な嵐を引き起こしかねない。
「スペースXはビジネス上の利益を得るが、衝突リスクや夜空の明るさの問題、無線周波数の調整、大気圏再突入時の負担、そしてデブリがもたらす長期的なリスクは全員で共有することになる」と彼は言う。
「これはまさに国際的な反発を招く典型的な状況だ」
ハーレーによれば、スペースXの計画に対する抗議の前兆はすでに現れている。これまでに低軌道に打ち上げられた1万基のスターリンク衛星が引き金になっているという。
「天文学者や科学機関は、非常に大規模な衛星や軌道インフラの提案に反対してきた」と彼は言う。「過去のスターリンクの承認も、他の当事者によって法廷で争われている」
「100万基の衛星コンステレーション構想は、そうした反応を劇的に増幅させるだろう」
今、レーダーから望遠鏡、高解像度の宇宙カメラに至る最先端のセンサー技術が米国政府や宇宙関連の主要企業によって配備され、時速2万8000kmで地球を周回する有人宇宙船や宇宙ステーション、衛星、そして過去の衝突で生じた破片を追跡している。
「宇宙スタートアップのLeoLabsや米宇宙軍、米国防総省が管理する軌道データ公開サイト「Space-Track」、そして新たに登場した米国商務省宇宙商務局(OSC)が主導するSSA(宇宙状況把握)システム『TraCSS(宇宙交通管理のための安全・持続可能性リポジトリ)』は、すでに追跡を実施し、コンジャンクション(接近)解析結果や警告サービスを提供している」とハーレーは語った。
「LeoLabsによると、同社のレーダーネットワークは2万2000基以上の人工衛星とロケット本体、デブリ破片を追跡し、接近警報を発している」
米宇宙軍の第18宇宙防衛隊(18th Space Defense Squadron)は、稼働中および制御不能な人工衛星の無数の軌道帯を追跡。差し迫った衝突に関する情報を、回避操作を指示できる宇宙船運用者に迅速に伝達しているという。
しかし、100万基の人工衛星を監視するためにこれらの追跡システムを拡張・アップグレードするには、能力の飛躍的な向上が必要となる。


