長年にわたり、人事部門は主としてプロセスとコンプライアンスに焦点を当てる支援機能と見なされてきた。しかし、組織が適応と競争を迫られる圧力が高まるなか、その役割だけではもはや不十分である。いま求められているのは、人事リーダーが戦略に影響を与え、事業成果の形成に直接関与することだ。
この転換を実現するには経営の意思決定の場に参加することが必要だが、より重要なのは、人事部門の運営方法とその影響の測定方法を根本的に変えることである。ここでは、Forbes Human Resources Councilのメンバーが、人事部門を意義ある測定可能な成果を生み出す戦略パートナーへと変革するための実践的アプローチを共有する。
1. データドリブンな機能として運営する
戦略パートナーになるには、人事部門はデータドリブンな機能として運営されなければならない。労働力データを予測的インサイトへと変換し、それを戦略的議論の場で明確に提示することで、人事は「報告」から「意思決定の誘導」へと役割を移す。定着、パフォーマンス、コストに関する意思決定を導けるようになるのだ。財務との連携により、人材戦略を売上と同等の厳密さで測定できる。- Hanna Azarenko(EDGLRD)
2. リーダーシップの意思決定に対等なパートナーとして関与する
人事部門はリーダーシップの場に参加し、事業が直面している課題、取り得る選択肢を理解したうえで、解決策の議論に対等なパートナーとして貢献する必要がある。これにより、人事は発言権を確保し、事業の戦略パートナーとして認識され、事業上の解決策づくりに能動的に関わることができる。- Gordon Pelosse(AI Certs)
3. 採用を事業目標と整合させる
組織が価値を提供する力は、人材から始まる。適切な人材、スキル、経験は、高品質なアウトプットを確保するための重要なインプットである。人事部門が戦略パートナーとして機能するためには、どのような具体的な事業ニーズを追求しているのかを把握しなければならない。そうすれば、採用チームは最終目標から逆算し、その実現に必要な人材を特定できる。- Nicky Hancock(AMS)
4. 低付加価値業務を自動化し、戦略に集中する
人事部門は、プロセスとテクノロジーを用いて価値の低い組織業務を管理することで、戦略パートナーになれる。そうすればキャパシティが解放され、より付加価値の高い業務へ振り向けられる。この転換により、人事は事業を戦術的に支える立場から、仕事の設計を戦略的に形作る立場へと移行する。成果への人事のインパクトが明確になれば、戦略が定義される場で発言権を得られる。- Dr. Timothy J. Giardino(myWorkforceAgents.ai)
5. 人事戦略にAIを統合する
90年代には、人事が戦略的になり得るかどうかが議論のテーマだった。いま、その問いは決着がついている。真の課題は、人事の戦略的な力と台頭するAIの力を融合させ、組織パフォーマンスを増幅する「フォース・マルチプライヤー」へと機能を変えることである。- Jalie Cohen(Radiology Partners)
6. マネージャーにリーダーシップとパフォーマンスの責任を持たせる
マネージャーがリーダーシップを担うとき、人事は戦略的になる。従業員はまず直属の上司にコーチングと説明責任を求めるべきである。人事はリーダーを強化し、パフォーマンス制度を設計し、エスカレーションが必要な場合にのみ介入する。- David Satterwhite(Chronus元CEO)
7. 人事部門のオペレーティングモデルと能力を強化する
唯一の正解はない。機能全体にわたる思慮深く協調的な取り組みが必要だ。構造とオペレーティングモデルを見直し、テクノロジーを強化し、社内でのブランドを高め、戦略的インパクトを生み出すために必要なスキルを構築することが求められる。- Fran Maxwell(Protiviti)
8. 意思決定の枠組みと成果を自ら握る
意思決定の場への席を得ようとするのはやめよう。自らテーブルを作るのだ。人事が戦略的になるのは、影響力を求めて許可を求めるときではなく、意思決定の仕組みそのものを握るときである。意思決定権限を設計せよ。労働力データを掌握せよ。あらゆる「人」への投資を、測定可能な組織成果に結びつけよ。戦略とは肩書きではない。何をコントロールするかの機能である。- Apryl Evans(USA for UNHCR)
9. 人材戦略を事業戦略と整合させる
人事部門を戦略パートナーへ変革する第一歩は、人材戦略を事業戦略に整合させることだ。人事リーダーを事業部門に組み込み、経営の場で発言権を確保することで、人事は人員構成、カルチャー、リーダーシップ能力を形作ることができる。人を中心に据えたアプローチにより、意思決定がパフォーマンスと意義ある成果の両方を推進することが確実になる。- Sharifah Masten, CMM(Barbaricum LLC)
10. 活動ではなくインパクトを測る
人事部門を戦略パートナーへ変革するには、リーダーが「活動の追跡」から「事業インパクトの測定」へと舵を切らなければならない。人事は人材施策を戦略目標に整合させることができる。これにより、焦点は管理的監督から組織アーキテクチャへ移り、人を中心に据えた各施策が損益に直接影響し、組織価値を提供することが確実になる。- Sherry Martin
11. 人事の役割をエンドツーエンドのオーナーシップへ転換する
人事の役割を、タスクの調整から施策のエンドツーエンドのオーナーシップへとシフトさせよう。チームメンバーがタスク管理だけでなく、計画、分析、成果を含むプロジェクトをリードできるようにする。これをステークホルダーミーティングや経営層へのプレゼンテーションへの参加と組み合わせることで、人事プロフェッショナルはビジネス感覚、文脈理解、そして意思決定に影響を与えるために必要な信頼性を構築できる。- Britton Bloch(Navy Federal)
12. 労働力インテリジェンス機能を構築する
人事部門は単なるサービス機能ではなく、「労働力インテリジェンス」のエンジンとして自らを再定義しなければならない。労働力データ、市場インサイト、AIシグナルを統合することで、人事は人に関するトレンドを測定可能な事業上の含意へと翻訳する。具体的には、能力ギャップ、生産性リスク、人材供給である。これにより人事は、実行にとどまらず戦略に示唆を与え、どこで事業が成長できるのか、どこで失敗するのか、次に何を構築すべきかを形作れる。- Bernie Yong(Averis Sdn Bhd)
13. 人材と組織戦略についてリーダーシップに助言する
HRビジネスパートナーは、「人の卓越性」に焦点を当てた意思決定が、企業文化、組織パフォーマンス、競争優位を高めることで事業成果につながることを示す。経営の意思決定に貢献することで、人事は組織の短期・長期目標に整合した人員計画、タレントマネジメント施策、リーダー育成について戦略的に助言する。- Dr. Nara Ringrose(Cyclife UK Limited)



