経営・戦略

2026.05.19 13:36

チームを一つにまとめ、差別化を生み出す3つの方法

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John GanemはKloeckner Metals CorporationのCEOである。

私の会社には、私たちの競争のしかたを象徴する言葉がある。「Unleash the Dog」だ。

この話をする価値があるのは、言葉そのもののためではない。大きな変化のただ中で、組織を多方向ではなく1つの方向へ動かそうとしていた時期に、この言葉が私たちにとって何を意味していたかにある。そうした局面では、戦略や構造が重要である一方、同じくらい「整合」も重要だ。人々には、「勝つ」とは実際にどういう状態なのかについての共通理解が必要なのである。

2018年、私たちは組織の運営のしかたを変える最中にあった。目標は、個々の拠点の寄せ集めのような状態で機能するのをやめ、1つのチームとして動くことだった。そのためには、意思決定を整え、説明責任を明確にし、事業全体で一貫した期待値を徹底する必要があった。

こうした対話は、成長、業績、実行に関する会議で絶えず行われていた。その作業の途中で、あの言葉が顔を出した。誰かが会議で、ロゴにある犬の話をしているときに何気なく口にしたのだ。ある案件について話しているときにも、また出てきた。ほどなくして、問題をどう解決するかを議論しているときにも登場した。

「Unleash the Dog」

誰かが計画したわけではない。正式に展開したわけでもない。それでも繰り返し戻ってきて、出てくるたびに意味することは同じだった。

その時点で、これが何か有用な働きをしていることが明らかになった。

ステップ1:勝てる戦略にエネルギーを注ぐ

「Unleash the Dog」というイメージは分かりやすい。犬をリードから放てば、ためらわない。注意深くなり、動き出し、においを探り、興奮している。何をすべきか指示されるのを待って立ち尽くしてはいない。

それは、私たちが社内で徹底しようとしていたメッセージ──取り組んでいることが何であれ、熱量と競争心を持ち込め──とぴたり一致していた。

その文脈での「勝つ」とは、抽象的な概念ではない。具体的で、あらゆる役割に関連するものだった。営業なら受注を勝ち取ること。人事なら適切な採用を実現すること。現場ならプロセスを改善すること。どの役割においても、安全に、正しく行われていないことがあれば介入することも意味していた。

この言葉は、誰かに仕事のやり方を教えるものではなく、戦略や実行を置き換えるものでもない。そうではなく、共通のマインドセットを支える役割を果たした。私たちがどのように振る舞うことを期待しているのかについて、共通の参照点を人々に与えたのである。

さらに、帰属意識も生み出した。人が共通の象徴に愛着を持つと、誇りとコミットメントが育つ。自分の役割を超えた、より大きな何かの一部なのだという感覚が強化される。

ステップ2:個の成功から目線を切り替える

どんな組織にとっても最も難しい転換の1つが、個人の成功から集団の成功へ移ることだ。自分の拠点、自分の地域、自分の役割だけに意識が向くのは自然なことである。

私たちは意図的に、それとは逆の方向へ押し出した。優先すべきは、適切な組織構造をつくり、適材を適所に配置し、全員が同じ目標に向かっている状態を確実にすることだった。まずその土台が必要だった。

構造が整ってから、「Unleash the Dog」というマントラがそれを補強した。個々の意思決定を、集団としての成果へ結び付け直す助けになったのだ。その種の整合が根付くと、目に見えて分かる。協業が改善し、人々は互いの勝利を助け合い、意思決定は個の成功ではなく、より大きな組織全体を念頭に置いて行われるようになる。

チームは、自分たちが何者かという明確な感覚があると、違ったパフォーマンスを見せる傾向がある。スポーツでも、最も記憶に残る優勝のいくつかは、予想を覆し、信念と結束がチームを想像以上のところまで運んだときに起きる。

1月にインディアナ大学が大方の予想に反して初の全米制覇を果たしたとき、それは才能やゲームプランだけの話ではなかった。舞台裏では、共通言語と信念が、全員を単一の目的へと整列させ、目標が手の届くところにあるという自信を与えた。これらの要素が準備や技術に取って代わったわけではないが、最も重要な場面でチームを結束させる助けになった。

仕事も、それほど違わない。

振り返ると、私のキャリアを通じて最も私を動かしてきたのは、仕事そのものだけではなかった。挑戦、競争、そして何かをつくり上げ、共に勝とうとしているという感覚である。

人々が自分はチームの一員だと分かっていると、努力は共有されたものとして感じられ、結果に対する関心が、自分の役割に対する関心を上回るようになる。

ステップ3:真の差別化を「集団の勝利」として定義する

個の勝利から集団の勝利へ移行するところで、差別化は実際に姿を現し始める。

人々が自分の成果のためだけに動く場合でも、パフォーマンスは起こり得るが、一貫性に欠ける。顧客体験はばらつき、基準はまちまちになり、チームは協働に苦労する。だが、期待値と動機が組織全体で共有されれば、体験はより一貫したものになる。そして、その一貫性こそが、顧客やパートナー、そして将来の従業員の目に留まる。

私たちの場合、何気ない一言として始まったものが、共に競うという私たちのあり方を映し出していたために、より大きなものへと発展した。時間とともに、それは私たちが何者であるかと結び付けられていった。大きな取引の可能性を発表したときでさえ、人々が最初に投げかけてきた質問の1つは犬についてだった。取引の構造ではない。仕組みでもない。犬である。

そこには実務的な教訓がある。組織の中で何かが共鳴し始め、望ましい行動を促すようになったら、見過ごしてはならない。人々が何に結集しているのかに注意を払い、それを強化し、一過性のフレーズから「基準」へと変えていくことだ。

戦略は通常、製品、サービス、市場を通じて説明される。だが差別化は、人々をどう動機付けるか、そして「共に勝つ」とはどのような姿なのかをどれほど明確に定義するかによっても築かれる。それを一体化させる助けとなるものを見つけたなら、たとえ小さく始まったとしても、切り捨ててはならない。それこそが、最終的に他のすべてとあなたを分け隔てるものになるかもしれない。

forbes.com 原文

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