製薬業界では、米イーライリリーの動きが興味深い。インディアナ州インディアナポリスに本社を置く同社は最近、米エヌビディアと提携し、製薬会社が運営するものとしては世界で最も高性能なAIスーパーコンピューターを構築すると発表した。イーライリリーはブロックバスター(大型薬)のGLP-1受容体作動薬について、すでにAIを活用した生産最適化を進めており、自社の技術者の間でこれ以上は不可能と考えられていた生産効率をさらに向上させている。
競合するスイスのロシュは、さらに大型のスーパーコンピューターを構築すると報じられている。英国のGSKやアストラゼネカ、米メルクといったほかの製薬大手も、AI関連で数十億ドル規模のパートナーシップを打ち出している。
AIは米国最大のコスト問題を投資機会に変える
米アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は2024年、ブログに投稿した記事のなかで、AIは今世紀の医療を根本的に変えることになると予言した。生物学と医療の50~100年分の進歩をわずか5~10年に圧縮できるとの考えを示し、これを「圧縮された21世紀」と呼んでいる。
大胆な主張だが、AI診断をめぐるデータを見ると、その成長の軌跡は彼の見方を裏づけている。
折りに触れて申し上げてきたように、政府の政策は変化の前触れになる。だが時には技術が先行し、それを市場が追うこともある。医療は米国で最大級の“金食い虫”だが、筆者の知る限り、AIはこの問題を根本から改善できる潜在力を秘めた初めてのツールだ。だからこそ、これは注意深く追う価値のある投資テーマなのだ。


