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2026.05.20 07:30

「100年の進歩を5年に圧縮」 医療AIが次の大きな投資テーマになる理由

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米シカゴ大学や米ミシガン大学の研究チームの研究によれば、がん検診は過去25年で米国に6兆5000億ドル(約1030兆円)以上の経済価値をもたらし(編集注:この金額にはがんの早期治療による医療費の節約分は含まれていない)、少なくとも1200万年分の寿命延長につながったと推定されている。他方、英イングランドでは、がんの治療費は早期段階では平均約1万1200ポンド(約239万円)なのに対し、進行段階では約2万3800ポンド(約508万円)と2倍以上になるという研究結果が示されている。

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早期発見による効果はたいへん心強いものだ。米国では、すべての種類を含めたがんの5年生存率が初めて70%に達し、数十年前から著しく改善している。

早期発見が有効なのは明らかだが、かねて課題になってきたのはそれを広げていくことだった。そこでAIの出番となる。

救急外来の診断でAIが医師を上回る成績

医療へのAI導入は多くの人が思っている以上のスピードで進んでいる。米国医師会(AMA)の報告書によると、業務でAIを活用している米国の医師の割合はいまでは8割を超え、2023年からわずか数年で2倍になった。また、4分の3超の医師が、AIは患者のケア、とりわけ診断と効率性で明確なメリットがある回答している。

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4月に発表された画期的な研究では、米オープンAIの推論モデルが実際の臨床環境で医師を上回る成績を示した。マサチューセッツ州ボストンの救急外来で、このAIは患者評価のすべての段階で人間の専門医と同等かそれ以上の能力を発揮した。とくに優れていたのは、患者に関する情報が最も少ない初期トリアージの段階だった。

また、米国有数の病院メイヨー・クリニックによると、開発したAIモデル「REDMOD(ラジオミクスに基づく早期発見モデル)」は、人間の目には見えない微細な組織変化を識別することで、通常のCTスキャンから膵臓がんを臨床診断の最大3年前に検出できる。このAIは診断の2年以上前に撮影された画像から、AIの支援なしに同じ画像を診断した専門医よりも3倍近く多く早期がんを発見したという。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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