米商務省がアリババ・テンセント・バイトダンスなど中国の約10社に対し、エヌビディアのAI半導体「H200」の購入を認めたと、ロイターが米国時間5月14日、関係者の話として独自に報じた。商務省自身はコメントを控えており、公式発表はない。承認規模は1社あたり最大7万5000基、合計で約75万基とされる。
だが1基も出荷されないまま、トランプ大統領は5月15日、習近平国家主席との首脳会談からの帰路において、中国側が購入承認を「しないことを選んだ」と認めた。
エヌビディアは、この件で中国向け取引を失ったわけではない。確かに一見すれば取引の不成立のように見えるが、過去2年間計算資源に飢えてきた世界市場に、75万基の高性能アクセラレーターを取り戻したのだ。そして、そのチップの1つ1つには、すでに買い手がついている。
トランプ大統領は5月15日、市場が週半ばから織り込み始めていたことを認めた。北京からの帰途、大統領専用機エアフォースワンの機内で記者団に対し、中国はエヌビディアのH200の購入承認を「行わないことを選んだ」と述べた。習近平国家主席が「自国で開発したいと考えている」ためだという。2日間の首脳会談では農業関連の約束はまとまったが、半導体分野ではほとんど進展がなかった。米商務省が5月14日に示した輸出許可は、建前上はなお有効な模様だ。しかし、1基も出荷されていない。しかも、その枠組みに付された条件を見れば、承認は当初から見込み薄だった。
12月に発表され、1月に正式化された枠組みでは、エヌビディアは中国向け販売ごとに売上の25%を米財務省に納め、すべての出荷を米国に本社を置く検証機関経由にし、総出荷量を同社の米国内H200販売の半分に制限することになっていた。これらの条件は通常の輸出許可よりはるかに厳しいものであり、今回の形での合意は成立しなかった。
ここでウォール街が問うているのは、この不成立がエヌビディアにとって問題なのかどうかだ。だが、それは問いの立て方が間違っている。本当に問うべきなのは、中国の買い手向けに名目上確保されていた75万基の最先端アクセラレーターが、過去2年間にわたって計算資源不足に直面してきた世界のどこへ向かうのかという点だ。



