映画

2026.05.20 14:15

5月4日に世界が熱狂するスターウォーズの稼ぎ方 新作が旧作を活性化する「永久機関」の正体

nnerto - stock.adobe.com

過去と現在をつなぐ、「永久機関」化するエコシステム

ニールセンのデータで最も注目すべき点は、視聴されているコンテンツの内訳と、それらが織りなす相互作用である。

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2025年の映画部門では、オリジナルの『エピソード4/新たなる希望』が依然としてトップに君臨し、次いで『エピソード1/ファントム・メナス』、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が続いた。

この流れをつくっているのが、Disney+による実写ドラマ部門の躍進だ。

ドラマ部門では、最終シーズンが配信された『キャシアン・アンドー(Andor)』が牽引役となり、単一作品で74億分という視聴時間を記録。さらに重要なのは、この『アンドー』のヒットが、同作の時系列的な後日譚にあたる映画『ローグ・ワン』(劇場公開済)の視聴時間を劇的に押し上げた事実だ。

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Nielsen レポート:2025年の視聴動向ハイライト

総視聴時間 米国内で330億分以上を記録

映画部門トップ3 1位『新たなる希望』、2位『ファントム・メナス』、3位『ローグ・ワン』
ドラマ部門トップ3 1位『キャシアン・アンドー』、2位『スケルトン・クルー』、3位『マンダロリアン』

これは、ディズニーが構築したIP戦略の真骨頂だろう。

新作ドラマの配信により、数十年前に制作された過去のアーカイブ作品に新たな光が当たり、再び莫大な視聴時間(=プラットフォームの価値向上)を生み出す。旧作を単なる「過去の遺物」として陳腐化させるのではなく、新作の文脈の中で「必修科目」として再定義するのだ。この相互補完的なエコシステムが、スター・ウォーズというIPを「利益を生み出し続ける永久機関」へと昇華させている。

「May the 4th(5月4日)」の経済学

マーケティングの観点から見ても、『スター・ウォーズ』の強さは群を抜いている。作中の名セリフ「May the Force be with you(フォースと共にあらんことを)」にちなみ、5月4日(May the 4th)が「スターウォーズの日」となっているのは、もともとはファンの間から自発的に生まれた草の根的な記念日。しかし、現在のディズニーはこれを世界規模の公式マーケティング・イベントへと昇華させている。

ニールセンによれば、2025年5月4日の単日だけで、なんと6億3700万分もの『スター・ウォーズ』作品がストリーミング再生されたという。この日は、配信中であった『キャシアン・アンドー』や、この日に合わせてローンチされた新作アニメ『Tales of the Underworld』が大きな注目を集めたが、同時にフランチャイズの中核をなす映画群もランキングを席巻した。

企業が主導して「〇〇の日」を作るキャンペーンは数多く存在するが、大半は一過性の話題作りに留まる。しかし『スター・ウォーズ』の場合、ファンの熱量(ファンダム)を起点としているため、オーガニックな盛り上がりと企業側のプロモーションが完璧に融合。新作の発表、限定グッズの販売、そして過去作の一斉視聴──年に一度、世界中のファンが同時多発的にプラットフォームに集結するこの「儀式」は、Disney+のエンゲージメントを瞬間最大風速に引き上げる最強のCRM(顧客関係管理)施策として機能している。

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文=松永裕司

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