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2026.05.20 14:15

5月4日に世界が熱狂するスターウォーズの稼ぎ方 新作が旧作を活性化する「永久機関」の正体

nnerto - stock.adobe.com

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「A long time ago in a galaxy far, far away...」の文字が浮かび上がったと同時に、ジョン・ウィリアムズの手によるテーマが壮大なホーンとともに鳴り響いた瞬間、「ワクワクが止まらない」という私のようなオールドファンは、いったいどれほどいるのだろうか。

日本で『スターウォーズ』の第一作が公開されたのは、1978年夏(米国公開は77年5月25日)。当時、中学一年だった私は、テーマの終了とともに大画面の頭上から宇宙船が姿を見せ、さらにスター・デストロイヤーがその全貌を表したシーンに、度肝を抜かれたものだ。

現在の特撮を見慣れてしまった世代にとって、そのインパクトはたいしたものではあるまい。しかし、それまで大怪獣はミニチュアセットの上を行く「着ぐるみ」であり、それを迎撃する戦闘機や宇宙船は、「ピアノ線」で吊られていた時代だ。その衝撃たるや、「肝を抜かれた」という表現以外思いつかない。そのインパクトは『マトリックス』公開時の「バレットタイム」や『アバター』公開時の「3D」と同等、あるいはそれ以上だった。この作品は現在『エピソード4/新たなる希望』と呼ばれるが、当時は『スターウォーズ』とだけ題されていた。

「スペース・オペラ」と称された本作は2027年、公開から半世紀となる。そんな中、エンターテインメント業界における覇権争いが激化する21世紀において、これほど長く、一つのフランチャイズが他の追随を許さない圧倒的な力を見せつけているのは、信じがたい思いだ。

視聴率・視聴者分析の世界最大手ニールセンが発表した最新レポートは、現代のストリーミング時代において、この銀河系最大の知的財産(IP)がいかに視聴者の「可処分時間」を支配し、巨大な経済圏を維持しているかを如実に示している。ここでは同社のデータを紐解きながら、ディズニーの秀逸なエコシステムと、世代を超えて富を生み出し続けるファンダム・ビジネスの真髄に迫る。

330億分の熱狂、ストリーミング戦争における「絶対兵器」

現代のビジネスにおいて、最も価値のあるリソースは人々の「アテンション(関心)」であり、それを測る指標のひとつが「可処分時間」だ。ニールセンのリポートによれば、2025年における米国でのスターウォーズ関連コンテンツの総視聴時間は、テレビ放送とストリーミングを合わせて330億分(約5億5000万時間)を突破したという。

この数字の大部分を占めるのが、ディズニープラス(Disney+)を中心としたストリーミングプラットフォームでの視聴である。

ネットフリックス、アマゾンプライム、Apple TVなど、巨大テック企業が莫大な予算を投じてオリジナルコンテンツを量産し、視聴者の奪い合いを繰り広げる「ストリーミング・ウォーズ(戦争)」のなか、これだけの時間を単一のフランチャイズが独占している事実は特筆に値する。『スター・ウォーズ』は単なる映画シリーズではない。それ自体が一つのプラットフォームとして機能しており、ディズニープラスという配信基盤の屋台骨を支える強力な「アンカー(錨)」となっている。

新規ユーザーを獲得するだけでなく、既存ユーザーの解約を防ぐリテンション(顧客維持)戦略において、いつでも好きな時にアクセスできる『スター・ウォーズ』の膨大なアーカイブは、競合他社がどれほど資金を積んでも一朝一夕には構築できない強力な参入障壁として機能している。かくいう私もDisney+をサブスク契約しているが、これはもちろんディズニー・ファンタジーを視聴するためではなく、『スター・ウォーズ』シリーズ視聴のために契約している。

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文=松永裕司

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