ヘルスケア

2026.05.19 09:30

世界は次のパンデミックへの備えができていない、WHOが警告

Omar Havana/Getty Images

感染症に対する各国政府の関心は低下

GPMBは、感染症に対する各国政府の関心が低下しており、それが原因で保健分野への投資が減少していると特に警鐘を鳴らしている。報告書によると、各国はグローバルヘルスやシステムの強靭性に対する投資を減らしており、「将来的に感染症の流行が発生した際の潜在的な影響は著しく大きくなる」という。本報告書はドナルド・トランプ大統領の名指しこそ避けているものの、同政権は米国の感染症対策を主導していた米国際開発局(USAID)を閉鎖し、それにかかる費用を賄うため、グローバルヘルス予算を20億ドル(約3160億円。1ドル=158円換算)削減した。ヘルス・セキュリティー・ポリシー・アカデミーの分析によると、この予算削減により、結核による死亡者数が推定12万1000人、マラリアによる死亡者数が少なくとも4万7600人増える可能性があるという。

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各国の指導者たちがこの委員会の忠告に耳を傾けるかどうかが問われる。同報告書では、政治指導者らが「世界の備えの方向性を変える」ための提言が複数提示されている。具体的には、独立したパンデミックリスク監視体制の確立、各国がパンデミック対策へ公平にアクセスできるようにするための政策執行、そして「毎年の政治的な交渉に左右されない」持続可能な資金調達の仕組みづくりなどが挙げられた。

5月、クルーズ船内でハンタウイルスの変異株が発生し、3人が死亡した。これにより、世界の関心は再びパンデミックに対する備えへと向けられた。このクルーズ船でウイルスにさらされた乗客は保健当局が感染発生を把握する前に帰宅しており、複数の人々が検査で陽性となったことを受けて約6カ国に警戒が広まった。世界の保健当局は、「アンデス」と呼ばれるこの変異株について、感染には濃厚で長期にわたる接触が必要であることなどの理由から、このウイルスが新たなパンデミックを引き起こすことはないと繰り返し警告している。

しかし、この事案は依然として人々に恐怖を与え、接触者の追跡と感染の封じ込めが世界規模で行われている。これまでのところ、この取り組みは成功しているとみられる。先週米国に帰国した12人以上の乗客はネブラスカ州の国立隔離施設で隔離されており、42日間のウイルス潜伏期間の間そこに滞在する予定だ。

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またWHOは16日、アフリカで続くエボラ出血熱の流行について、これがパンデミックの基準に達するものではないとしつつも、「特異な」公衆衛生上の緊急事態であると宣言した。米疾病対策センター(CDC)によると、コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が流行するのは過去50年でこれが17回目となる。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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