経営・戦略

2026.05.19 08:30

米電力大手ネクステラ、約10.6兆円で競合ドミニオンを買収──AI投資の加速が背景

Cheng Xin/Getty Images

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米電力大手のネクステラ・エナジーは現地時間5月18日、競合のドミニオン・エナジーを約670億ドル(約10.59兆円。1ドル=158円換算)で買収すると発表した。今回の買収によって米国の電力大手2社が統合されることになる。多くの企業がAIインフラに資金を投じる中、電力需要は今後10年間で急増すると予想されている。

両社が18日に発表したところによると、ネクステラはドミニオンの発行済み株式1株に対して自社の約0.8株を割り当てる。この取引におけるドミニオンの評価額は約668億ドル(約10.55兆円)となる。

ネクステラはその市場価値が1946億ドル(約30.75兆円)に達する世界最大の公益企業だ。一方のドミニオンは世界最大のデータセンター集積地であるバージニア州などに電力を供給している。

規制当局の承認を必要とするこの取引は、今後12カ月から18カ月以内に完了する見込みだ。この買収により、フロリダ州、バージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州にまたがる約1000万人を顧客とする電力会社が誕生することになる。

統合後の会社はニューヨーク証券取引所でネクステラのティッカーで取引され、ネクステラの株主が新会社の74.5%を所有し、ドミニオンの株主が25.5%を所有する。また、ネクステラは追加で3億6000万ドル(約569億円)の現金を受け取る。

18日、ネクステラの株価は3.6%下落した一方、ドミニオンの株価は11%近く急騰する場面もあった。

両社によると、取引完了後の2年間で、バージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州に住むドミニオンの顧客400万人に対し、総額22億5000万ドル(約3555億円)の電気料金の払い戻しが行われる予定であり、顧客1人あたり合計で約562ドル(約9万円)が還元される可能性がある。エバーコアISIのアナリストであるニコラス・アミクッチは、この取引は「重大な」規制上の審査に直面する可能性が高いため、これによって電気料金が下がるかどうかを現時点で判断するのは時期尚早だと指摘する。アミクッチによれば、州の当局、連邦エネルギー規制委員会、および司法省が取引の条件や消費者にとっての実現可能性を検証することになるという。

消費者教育団体パワーラインズによると、米国の電力各社は、AI向けの電力需要拡大に対応するために今後5年間で合計1兆4000億ドル(約221.2兆円)を支出する見通しだという。これは、1年前に計画されていた1兆1000億ドル(約173.8兆円)から20%の増加となる。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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