副業をすると本業がおろそかになるという不安で踏み出せずにいる人は多い。だが実際に副業に取り組む人たちのデータは、その懸念とは異なる実態を示している。
キャリア形成支援プラットフォームを運営するTEKOが副業経験者を対象に実施した調査が、その実態を浮かび上がらせた。回答者の4割は年収が1000万円を超える高収入層だ。
求めるのはキャリアの可能性の拡張
回答者の30代・40代が全体の8割を超え、すでに本業で一定の成果を出しながらも副業に取り組んでいる。彼らが副業に求めているのは生活費の補填ではなく、会社に依存しない収益を自ら生み出す経験であり、本業だけでは得られないキャリアの可能性だ。
すでに副業で収益を得ている人は98%にのぼり、週10時間以上を副業に投じている人が60%を占める。情報収集や準備段階ではなく、本格的に動いている人たちが多い。

では、本業に与える影響はどうか。副業開始後に本業の生産性が「向上した」と答えた人は79%に達した。「非常に向上した」が22%、「やや向上した」が57%で、低下したと答えた人は2%にとどまる。

副業がもたらしたポジティブな変化
副業をすることによって本業にどのような変化がもたらされたのだろうか。最も多く挙げられたのは「タイムマネジメント能力の向上」(65%)で、「メンタルの安定」(61%)、「視点の拡大」(52%)が続く。回答者の声がその構造を具体的に伝えている。

「効率化を意識して作業が早くなり上司からパフォーマンスを評価されるようになった」(女性・30代・コンサル・年収600〜800万円)、「副業収入があることで心理的な安心感が生まれ自分の意見をしっかり言えるようになった」(男性・20代・専門職・年収800〜1000万円)などだ。
副業は本業の時間を奪うのではなく、時間密度を上げるきっかけとして機能しているようだ。また、会社以外の収益源を持つことで生まれる心理的余裕が、本業での発言や判断にも波及する。そうした連鎖が、数字の背景にありそうだ。
自己認識を変えた副業の効力
副業を通じた自己効力感を5点満点で尋ねると、平均4.4点で回答者の約90%がスコア4以上を選んでいる。ここでいう自己効力感とは「自分の力で収益を生み出せる」「会社以外でも価値を提供できる」「自分のキャリアを主体的に設計できる」という感覚だ。

給与という形で会社から受け取るのではなく、自分の判断と行動で市場から収益を得る経験が、職場での振る舞いや自己認識を変えていく。副業がもたらす思わぬ収穫が明らかになったかたちだ。こういった経験が積み重なるにつれ、副業の意味そのものが書き換えられていくことになるかもしれない。
【調査概要】
調査対象:TEKOコミュニティに参加する副業経験者121人
調査期間:2026年3月
調査方法:オンラインアンケート



