起業家

2026.05.21 17:00

中国の脅威が原点、米軍の「水上ドローン請負人」を目指す元ビルマ難民の創業者

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国防次官の講演を機に、起業を決めた2人

これに対しHavocは、創業当初から市場が求めるものを先に見極める姿勢を取ってきた。2023年後半、ルウィンとターナーは、電動「シーグライダー」を手がけるREGENTで、幹部職とコンサルタント職に就いていた。そのとき2人は、ハイディ・シュー米国防次官(当時)の講演を聞いた。同次官が説明したのは、中国が台湾に侵攻した場合にドローンの群れを台湾海峡へ送り込む「ヘルスケープ」と呼ばれる国防総省の計画だ。そのうえで同次官は、こうした水上ドローンを製造し、さらに群れとして連携させて動かすプログラムを作れる企業が必要だと語った。

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「ジョーと私は『やろう』という感じだった」とルウィンは振り返る。実のところ2人は、空き時間を使ってすでに水上ドローンの実験を進めていた。ウクライナ戦争は「市販の製品を使えば、どんなものでも複雑なロボットに変えられる」ことを示した。それに着想を得た2人は、週末をルウィンのガレージで過ごし、カヌーやゴムボートに、アマゾンなどの商用サイトで購入した部品を取り付けて水上ドローン試作機を作っていた。コードはルウィンがPythonで書いた。試作機は、ターナーの両親が所有する湖畔の家でテストした。

シューの講演を聞いた後、2人は仕事を辞めて、2024年1月にHavocを立ち上げた。Havocの船は、ルウィンとターナーがガレージで2艘のカヌーを木の板でつなぎ合わせていた頃から大きく進化した。とはいえ、現在そろえる8モデルの水上ドローンは、いずれも派手さとは無縁だ。米国内の7つの造船会社が製造するこれらの船は、シンプルかつ低コストで、消耗品として使うことを前提に設計されている。

特定のニッチ領域をつかめるか、新興各社に淘汰と再編のリスクが残る

「船自体は重要ではない。ここで高度なのはソフトウェアだ」とルウィンは語る。価格の安さも魅力の核心だ。Rampageはソフトウェア込みで20万ドル(約3200万円)で販売されるのに対し、海軍は従来、高度な性能を備えた「精巧な」艦艇に数億ドルから数十億ドル(約数百億円から数千億円)を投じてきた。「20万ドル(約3200万円)の船を撃破されたところで、何の問題がある」とルウィンは言う。「むしろ好都合だ。相手はミサイルを無駄にしたのだから」。

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ただし、Andurilを含むより規模の大きい企業が、最終的にHavocを不要な存在にしてしまうリスクは残る。米軍全体ですでに広く使われているLatticeが、Havocの得意とする役割を置き換えられると証明した場合、そのリスクは現実になり得る。

国防総省に売り込みをかける数十社の水上ドローンスタートアップの大半も、特定のニッチ領域をつかめるかどうかに賭けている。海洋テックの専門家トビアス・ステイプルトンは、Havocに弱気な見方をするなら、「海軍は、最終的に10種類もの異なるソリューションは必要なく、2つか3つで足りると判断するかもしれない。そうなれば、この業界では淘汰と再編が起きることになる」と語る。

Havocに投資するB Capitalの会長兼ゼネラルパートナー、ハワード・モーガンは、Andurilがルウィンのニッチ領域に踏み込んでくることをさほど心配していない。「こうした事業では、たいてい規模を縮小するより拡大する方が容易だ」と彼は言う。

モーガンは、Havocが掲げるシンプルさ重視の姿勢が時流に合うと見ている。国防総省は、納入までに何年もかかる極めて高額で複雑なハードウェアへの支出に疲れ、低コストの方向へ舵を切りつつあるからだ。

「ある時、海軍大将が私の同僚にこう言った。『欲しいのはベントレーではなくホンダだ』」とモーガンは振り返る。「『しかも大量に買いたい』とね」。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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