自律型ドローンの統合管理というニッチな領域、巨大企業Andurilとのすみ分けを狙う
Havocは、一見すると評価額600億ドル(約9.48兆円)で資金調達を進めていると報じられるAnduril(アンドゥリル)のような巨大防衛テック企業と競合するように思える。だが、同社の勝ち筋は、Andurilのプラットフォーム「Lattice」を置き換えることにはない。Latticeはすでに米軍の数百のシステムに組み込まれており、軍のばらばらなシステムやデータをつなぎ、AI分析で強化した共通の作戦状況図に統合している。
Havocが成功できるかどうかは、自律型ドローンの統合管理というニッチな領域で、同社が最も優れたプレーヤーになれるかどうかにかかっている。同社ソフトウェアは、Latticeを含む他社のシステムの内部や周辺に、1つのレイヤーとして組み込まれる可能性がある。
Havocはまだ、自社ソフトウェアを単体の製品として米軍に販売していない。だが、水上ドローンについては、リースや販売を通じて32隻を納入している。ドローンの分野でも実績を積みつつあり、米陸軍第1騎兵師団は現在、Havocのクアッドコプターを使って訓練を行っている。ある米陸軍高官によれば、Havocに対する兵士の反応はこれまでのところ好意的だ。兵士からの評価は、将来の契約でどの製品が選ばれるかを左右するため、Havocがこうした契約を獲得する可能性は高いという。
「とにかく非常に使いやすいプラットフォームだ。そこが重要だ。現場にはすでにさまざまなテクノロジーがあるが、独自仕様のシステムも非常に多く、従来型のシステムでさえ複雑だ。兵士がiPhoneのように、手に取ってすぐ使えるものでなければならない」と、この高官は説明する。一方、AndurilのLatticeについては、「少し複雑だ」と語った。
水上ドローンをめぐる競争は、まだ始まったばかりだ。ウクライナの戦場では、水上ドローンがすでに投入され、戦果を上げている。しかし、人間の操作を介さず「完全に」自律で動く水上艇が実戦で使われた例は、確認されていない。Havocはこれまでに2万時間を超える試験を重ねてきたが、シミュレーションで証明できることには限界があるHavocがこれまでに実施した最大規模の試験では、25隻を同時に運用した。Saronicは30隻超、Andurilは50隻超の試験を行った。Havocは今夏、50隻を同時に運用する試験を計画中だ。
それでも、この分野への期待は競争と同じくらい過熱している。防衛テックへの投資は、ウクライナ戦争や、商用技術への米国防総省の関心の高まり、軍事予算の拡大を背景に、ここ数年ですでに急増していた。それに続くイランでの紛争によって、米海軍の能力不足が浮き彫りになった。
PitchBookによると、イランでの紛争開始以降、米国の航空宇宙・防衛企業による資金調達ラウンドの中央値は2000万ドル(約32億円)に達している。紛争前の12カ月間の中央値は、500万ドル(約7億9000万円)だった。無人艇は、乗組員を必要とせず、米兵を危険にさらさずに済むことから、需要が高いとみられている。これらの無人艇は、機雷除去、監視、護衛、戦闘など、ホルムズ海峡をめぐる対立に関係し得るさまざまな任務に対応できるよう設計されている。
「ドローン製造業界に新たに参入した企業群全体にとって、ホルムズ海峡をめぐる緊張は、財務モデル上の大きな追い風になる。将来の海上戦の多くの局面で高度な自律システムが使われるという彼らの事業仮説に、強い裏付けを与えている」と、タフツ大学フレッチャー・スクールで海事研究を専門とするロックフォード・ワイツ教授は語る。
Havocの創業者以外では最大の株主であるScout Venturesのブラッド・ハリソンは、こう付け加える。「ホルムズ海峡をめぐる課題は、長期的にはHavocにとって追い風になる。同社は、安全な航路の確保に役立つテクノロジーを提供できるからだ。今後、それは世界的にこれまで以上に大きな優先課題になると思う」。
ルウィンによれば、彼のもとには、イランでの紛争開始以降、湾岸諸国の複数の政府から問い合わせが寄せられているという。Havocは、戦争が続くウクライナから、中国による侵攻の脅威が差し迫る台湾まで、地政学的な緊張が高まる他の地域にも機会を見出している。


