トランプ米大統領は5月13日から15日にかけて北京を訪問し、中国の習近平国家主席と首脳会談を行った。米側は主にイラン情勢や貿易・投資問題、中国側は台湾問題についての成果や主張をそれぞれ対外的に発信した。米中の関心事項がどこにあったのかは、改めて理解できた。しかし、米中による共同声明も共同記者会見もなく、大きな歩み寄りがあったわけではなさそうだ。
米国はトランプ政権になり、国家安全保障会議(NSC)の人員が大幅に圧縮された。米政府関係者によれば、バイデン前政権当時は300人規模だったのが、現在は200人にも満たない数だという。トランプ氏には「官僚たちが相談して、自分をコントロールするかもしれない」という猜疑心があり、情報は直ちに大統領に上げるように促すという。従来、次官補級クラスから始めた関係省庁による調整協議もほとんど行われていない。とても、米国の国益を実現させる戦略的な体制が整っているようには見えない。
中国は中国で、習近平氏は益々、その独裁者としての地位を強固にしている。習氏がいくら独裁者でも、一日は24時間と決まっている。習氏が下せる判断には自ずと限界が生まれる。中国関係機関は縦割りの関係に置かれ、それぞれが「習氏に対する忠誠心」を示すため、軍であれば強硬な路線を、外交部であれば対話を重視した提案を行う。習氏の関心に沿った提案ほど、習氏の耳目を集めることができるし、採用される可能性も高くなる。
元々、ボトムアップでの政策の積み上げが難しい米中両国だからこそ、共同声明も作られなかったとも言える。そんななか、トランプ氏と習氏の利害が一致したのが、「自分の偉大性を世界に知らしめる」という点だった。世界遺産の天壇公園や中国の中枢部である中南海にトランプ氏を招き、習氏と2人で歩く映像や写真を世界中に流した。中国事情に詳しい東京大学大学院の李昊准教授は習氏の思惑について「超大国の米国と対等に渡り合う国家の指導者というイメージを振りまきたかった」と指摘する。



