中国は「弱くなる米国」は歓迎するが、米国の弱体化や米中の衝突によって世界が混乱することは望んでいない。米国に安易な譲歩はしないが、トランプ氏の機嫌を取ろうとする。14日の晩餐会では、トランプ氏が選挙集会で好んで流す楽曲「YMCA」が流れた。米外交問題評議会のマイケル・フローマン会長は15日付けのコメントで「制服を着た中国軍人がYMCAを演奏したのはおそらく初めてだろう」と驚いた。
日本や韓国、台湾などの関係者は、米中の予定調和的な首脳会談を不安と懸念を持って注視していた。日本政府当局者によれば、「日本がトランプ氏の訪日を要請したが、代わりにベッセント財務長官の来日でお茶を濁された」というのは、事実無根の風評だという。トランプ氏を日本に呼び込んで、無理難題も持ちかけられても困るという計算が働いたようだ。ただ、ベッセント氏も、トランプ氏が関心を持つ貿易・投資問題について、日本側関係者の考えや希望を聞いておきたいという思惑はあったものの、日本が懸念する日中関係の悪化や安全保障上の課題について協議したわけではなかった模様だ。
高市早苗首相が3月に訪米したのも、「場合によっては、今年は米中首脳会談が4回行われる」と予想されるなか、日本の方針や考えをしっかりトランプ氏に理解してもらうという狙いがあったからだ。
だが、米中首脳会談の結果を見る限り、「状況はどんどん悪い方向に流れているように見える」(日本政府当局者)。トランプ氏は中国との貿易・投資に夢中になっている。台湾問題を巡り、険悪になったままの日中関係について、日本の側に立つなり、あるいは仲裁するなりの動きは見られない。
李昊氏は「習近平氏は本気で、高市早苗首相を歴史修正主義者かつ新軍国主義者だと考えている」と語る。戦前、日本が台湾を統治していた時代認識がオーバーラップし、台湾有事になれば、日本が介入すると信じ込んでいるようだ。李氏は「習氏は忙しいから、いつも日本のことを考えているわけでも、日本が発信する情報に気をつけているわけでもない」と話す。
3月の日米首脳会談の後で発表されたファクトシートで、日本側は敢えて「台湾海峡の平和と安定」に言及しなかった。これは中国との対話に向けた一つのメッセージだったが、習氏の考えを変えるには全く至っていないようだ。外務省元幹部は「最近の秩序のない国際環境では、各国は自分の国益をむき出しで優先している。日本も中国におもねる必要はないが、国力の差を認めて対話を自ら求めるくらいの姿勢が必要だろう」と語った。


