アジア

2026.05.18 10:00

中国側から見たトランプ訪中 公式発表・晩餐会・SNSに溢れたミームが語る実態

中国・北京にある世界遺産「天壇」を訪れたドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席。2026年5月14日撮影(Brendan Smialowski - Pool/Getty Images)

「条件付き」のもてなし

今回、中国が米企業CEOの一団に示した歓待ぶりは、本物であると同時に、調整されたものであり、そして完全に条件付きだった。

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「本物」だと述べた理由は、中国が3月12日に全国人民代表大会(全人代)で承認された第15次5カ年計画の成長目標を達成するために、米国の技術パートナーシップと米消費者市場へのアクセスを心底必要としているからだ。同計画では2026~30年のGDP成長目標を4.5~5%とし、先進製造業、AI、ロボティクス、バイオものづくりを推進する共産党中央委員会の産業政策を承認している。

「調整されたもの」だというのは、中国の政策立案者たちが、米国政府からよりも個々の米国企業、とりわけ対中関与の推進派と広くみなされている企業からのほうが、より有利な条件を引き出せると学んでいるからだ。

「条件付き」としたのは、米国政府が半導体や台湾への武器売却など「越えてはならない一線」のいずれかに踏み込んだ瞬間、たちまち中国の政策会議の温度は下がるからだ。

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トランプは、いくつか公表できる成果を携えて帰国した。ボーイング737型機200機の新規発注(および中国次第で最大750機まで拡大の可能性)、GEエアロスペースのエンジン400~450基の購入合意、100億ドル(約1兆5900億円)規模の米農産物の購入合意である。

しかし、ここで教訓とすべきは2017年のトランプの訪中だ。当時、2500億ドル相当の合意書が交わされたが、結局のところ実質的な成果はほとんどなかった。中国による購入の約束は、発表が大々的なほど実現しない傾向がある。

米企業CEOたちが何を求めて北京を訪れたのかは一概には言えない。エヌビディアのフアンはAIチップの輸出規制の明確化を必要としている。アップルのクックは、中国のサプライヤー、規制当局、消費者との複雑な駆け引きが機能し続けることを求めている。クアルコムのクリスティアーノ・アモンやマイクロンのサンジェイ・メロートラも、輸出規制や中国での需要をめぐって同様の課題に直面している。ビザ、マスターカード、シティは、中国の決済・銀行業務において真にオープンなポジションの獲得へ向けてじりじりと前進しつつある。

これらの企業トップのほぼ全員が、世界的な自由貿易体制の恩恵を多大に享受しているビジネスを経営している。彼らが北京を訪れたのは、その体制を維持してほしいと可能な限り礼儀正しくトランプに訴えるためでもあった。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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