政治

2026.05.18 07:00

米露の大統領が軽視した客観的な分析の重要性

ロシア首都モスクワの大統領府(クレムリン)で会談する同国のウラジーミル・プーチン大統領(左から2番目)、セルゲイ・ナルイシキン対外情報庁(SVR)長官(右)、セルゲイ・ラブロフ外相(左)、アレクサンドル・ボルトニコフ連邦保安庁(FSB)長官。2016年12月19日撮影(Kremlin Press Office/Anadolu Agency/Getty Images)

イラン攻撃に踏み切ったトランプ大統領

次に、米国のドナルド・トランプ政権がイランへの攻撃を決定した経緯について考えてみよう。報道によると、トランプ大統領の開戦決定は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相による、攻撃に関する過度に楽観的で、率直に言えば偏った説明に大きく影響を受けたという。同首相の説明については、米国の情報機関が異議を唱えていたと伝えられている。

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米紙ニューヨーク・タイムズの報道によれば、ネタニヤフ首相は米ホワイトハウスに対し、イラン政権は脆弱(ぜいじゃく)で、米イスラエルの合同軍事作戦によって打倒できると示唆した。イスラエル側の説明では、イランの世俗的な政権への移行の可能性や同国の弾道ミサイル備蓄を短期間で破壊できる見込みが強調され、同国がホルムズ海峡を封鎖したり近隣諸国を攻撃したりするリスクは「最小限」だとされていた。

これらの予測が著しく不正確であったことは今や明らかであり、戦闘の最終的な行方を判断するにはまだ時期尚早ではあるものの、この紛争がホワイトハウスが当初想定し、米国民に提示していたよりもはるかに複雑で多大な犠牲を伴うものとなっていることは明白だ。

ネタニヤフ首相による説明が、米政権の開戦という最終決定にどれほど決定的な影響を与えたかを正確に把握するのは難しいが、恐らく重要な役割を果たしたのだろうと思われる。少なくとも、トランプ大統領がかねてより米情報機関と対立してきたことは確かだ。情報機関の主たる使命は、政策決定者に対し、事実に基づいた客観的な情報と分析を提供することにあるという点を忘れてはならない。

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だが、その使命は、トランプ大統領が好む「直感に従う」方針と対立し、幾度となく公の論争を引き起こしてきた。これには、ロシアによる米国選挙への干渉に関する評価を巡ってトランプ大統領が情報機関と意見を異にした有名な一件のほか、イランが積極的に核兵器を製造していないとする昨年の米国家情報長官(DNI)の声明に対する同大統領の反論や、(ベネズエラのニコラス・マドゥロ政権が米国内での犯罪活動を指示していないとする米情報機関の評価にもかかわらず)米国がベネズエラの犯罪組織「トレンデアラグア」に侵略されているというトランプ大統領の主張などが含まれる。後者の件では、情報公開法に基づく要請に応じて、ベネズエラに関する評価を最終的に公開した2人の情報機関職員が解雇された。

大統領が情報機関の見解に従って行動しなければならないという義務は当然ながら存在せず、選出された指導者が意思決定で自身の直感や思想的な世界観を信頼する余地は常にある。だが、筆者が40年にわたる国家安全保障分野での経験から確信しているのは、客観的な分析や多様な視点が罰せられるのではなく奨励され、政策決定の過程で慎重に検討されるような環境を整えることが効果的な結果につながるということだ。実際、これは研究者が「心理的安全性」と呼ぶものであり、病院からIT企業に至るまで、さまざまな業界で最良の結果を達成するために不可欠であることが繰り返し実証されている。筆者の見解では、この心理的安全性は、大統領執務室でもホワイトハウス危機管理室でも同様に重要だ。

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翻訳・編集=安藤清香

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