Leonard Cercone(レナード・サーコーン)、創業者兼CEO、CBC PR|PRとAI時代の可視性の専門家。オウンドではなくアーンドを起点に、オーディエンスに影響を与え成長を促すキャンペーンを構築する。
消費者向けPRの世界で25年過ごしてきて、業界が自分たちの仕事が何であるかを、いつの間にか忘れてしまったかのように見える瞬間を幾度も目にしてきた。私たちの仕事は記者に売り込むことではない。記者にとって役に立つことだ。そして、売り込みを浴びせ続けることが「役に立つ」ことと同義だったことは一度もない。
私も最初からこう考えていたわけではない。キャリアの初期には、認めたくないほど無理のある売り込みを送りつけていたと思う。
いまも多くのPRチームは、記者を「ターゲット」として扱う。売り込み文は説得のために書かれ、メディアリストはコンバージョンファネルのように組み立てられる。優秀な広報担当者の尺度が、記者が1通を開封するまでに何通のメールを送れるかになってしまう。双方にとって消耗戦だ。Real Simple、Good Morning America、Food Network、そして私が挙げられるほかのあらゆる消費者向け媒体の編集者は、「掲載を取りに来ている人」と「より良い記事づくりを助けようとしている人」の違いを知っている。部屋にいる全員が、その違いを見抜いている。
私の経験では、いまも取材・掲載につながる仕事は、まったく逆の姿勢から始まる。記者がクライアントのために何をしてくれるかを問うのではなく、クライアントとそのカテゴリーが記者のために何ができるかを問うのだ。記者はいま何を取材しているのか。担当分野で欠けている切り口は何か。読者に何を届けたいと思っているのか(ヒント:単独のブランドストーリーであることは、たいていない)。
「どうすれば本当に役に立てるか」を考える方向転換こそが、長く続く関係を生み出す出発点になる。
この話をすると、より思慮深いアプローチは露出の機会を犠牲にするのではないかと不安になるクライアントもいる。だが、そうではない。行き止まりの売り込みを、記者が本当に取り上げたくなる提案に置き換えるだけだ。記者が「この人は時間を無駄にさせない」とすでに信頼していれば、メールは読まれる。言うべきこと、価値あることがあると分かっているからだ。それが、取り上げられるということだ。
この原理が実際に機能する場面を、私は自社が20年以上にわたって開催してきたメディア・イマージョンプログラムで見てきた。場所はカリフォルニアのワインカントリーやバーモント州の山々などだ。うまくいくのは、旅行を装ったプレスツアーではない。良い週末の小旅行のように感じられるよう設計されている。急かされず、好奇心を満たし、考える余白がある。世界観を共有しながらも競合しないブランドを集めることもある。そうすると編集者は、重複しない5つのカテゴリーから5つのストーリー案を持ち帰れる。また、十分な奥行きがあり時間を割くに値する企業のために、単一ブランドのイマージョンを組むこともある。いずれにせよ、組み立ての原理は「売り込み」ではなく、編集者の体験だ。私たちは売るのではなく教える。営業担当者ではなくガイドとして振る舞う。ブランドとプロダクトには、自ら語らせる。
ここから先が、私が説明するとブランドマーケターが動揺する部分だ。ブランドに最も強く注目してもらう方法は、注目してもらおうと必死になるのをやめることにある。編集者の体験やニーズ(それが記事であるなら)を最優先にすると、ブランドは「うるさかったから」ではなく「寛大だったから」記者の記憶に残る。そこに残るのは印象ではなく、刻印である。
こうしたプログラムが生み出す露出は大きい。だが本当の価値は、そこで築かれる関係性にある。関係はイベントそのものをはるかに超えて続く。時間が経つほど、その関係は共生的になる。広報担当者が何年にもわたり編集者の仕事をより良くする手助けをしてきたからこそ、編集者も広報担当者がより良い仕事をするのを助けてくれる。究極の目標は「掲載」ではない。記者がリソースとして信頼する人物になることだ。それがアクセスである。
多くのブランドリーダーが数日間のイマージョンを企画することはないだろうし、必要もない。重要なのはアプローチだ。すべてのアプローチは、「自分が何を望むか」ではなく「記者が何を必要としているか」から始める。浅い会話を数多く重ねるよりも、少数でも深い対話に投資する。記者と密に仕事をする機会を得たとき、関係性は動き始める。
そして信頼は、どんな関係でも昔から唯一の方法でしか築けない。忍耐と、証拠だ。データベースで近道はできず、AIで自動化もできない(AIはリサーチには非常に有用だが)。週末のうちに取り繕うこともできない。何年にもわたる有益なフォローアップ、誠実な会話、そしてクライアントをあらゆる記事に無理やりねじ込もうとする誘惑より編集者のニーズを優先する規律から生まれる。多くのエージェンシーがこの投資をしないのは、忍耐は請求書にしにくいからだ。だがそれをやり切る会社は、トップメディアへの意味あるアクセスを得て、それが何年にもわたって報われる。
以前、大手新聞の記者から聞いた話がある。ある企業では決算リリースのたびに、広報担当者にニュースルームのほぼ全員(コラムニストも含む)へ電話をかけさせていたという。気の毒な広報担当者たちは知らなかったのだが、ニュースルームの配置上、記者たちは次々に鳴る電話の順番を見て笑っていた。要するに、こういうことはやめたほうがいい。
その代わり、広報担当者としてではなく、記者として考えることだ。これが刻印を残す。記事が忘れ去られたあとも、記者が持ち続けるような刻印だ。1日で消える露出と、何年も生き続ける信頼の違いはそこにある。
印象ではなく、刻印を残せ。必要なのは信頼だ。忍耐だ。そして、それこそがPRにおいて、これまでも本当に重要だった唯一の仕事である。



