4年以上におよぶ戦争を通じて、双方は活動パターン(POL)分析や衛星画像、人間の情報源を通じて、目標に関する詳細な知識を蓄積している。そのため、相手側のドローン生産施設や関連インフラの位置や重要な脆弱性を特定しやすくなっている。
ドローン生産施設に対する攻撃がこの戦争におよぼす影響
ドローン生産施設や関連インフラに対する攻撃は、作戦レベルで直接の効果をもたらす。ロシアもウクライナも長距離攻撃ドローンを大量に備蓄しているわけではなく、たいていは生産後すぐに使用している。したがって、生産拠点が妨害されれば、使用可能なドローン数は減り、攻撃の規模や頻度が制約される。そして、攻撃の規模が縮小し、頻度も低下すれば、どちらの側の対ドローン防衛体制も対処しやすくなる。
とはいえ、こうした効果は決定的なものではない。なぜならロシアもウクライナも比較的強靭なサプライチェーンを構築しているからである。生産は分散されており、被害を受けた施設も迅速に修復可能となっている。また、両国とも不可欠な部品の供給で外国のパートナーとの関係を保っている。そのため、時間がたてば生産は回復していき、個々の攻撃による長期的な影響は限定的なものにとどまる。
こうしたダイナミクスは、グローバルな対テロ戦争で有志連合軍が即席爆発装置(IED)対策で講じた「ネットワークへの攻撃」という対処法の場合と似ている。有志連合軍もまた、個々のIEDという脅威の軽減に取り組むとともに、その製造や設置に携わるネットワーク自体もターゲットにした。その結果、時間の経過とともに脅威は低減したが、根絶には至らなかった。
現在、ロシアとウクライナが採用している対処法も同様の発想に基づいている。両国とも防空システムやその他の手段でドローンから防御するだけでなく、その生産施設自体を狙った縦深攻撃を行っている。しかし、こうした攻撃は相手側のドローンによる脅威を軽減することはできても、完全に排除することはできないだろう。


