欧州

2026.05.18 07:30

「つくる前にたたく」 ウクライナとロシアが互いにドローン生産施設への攻撃強化

ウクライナの国産巡航ミサイル「フラミンゴ」が発射される様子。ゼレンスキー大統領が2026年5月5日、テレグラムに投稿した動画から

上述の事例からもわかるように、ウクライナはこの作戦の攻撃対象をドローンの組み立て工場だけでなく、ドローンを支える重要な技術の施設などほかのサプライチェーン(供給網)にも広げている。5月5日には、ロシア西部チュバシ共和国チェボクサル近郊にあるブニイル・プログレス工場をミサイルとドローンで攻撃した。この施設では、複数のロシア製ドローンシステムで採用されている航法受信機やアンテナなどが生産されている。

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同工場はとくに、測位衛星システム(GNSS)のスプーフィング(なりすまし)や電子戦による妨害への耐性を持たせるため、シャヘド型ドローンや滑空爆弾に広く搭載されているコメタ航法モジュールを手がけていることで知られる。ウクライナ側とロシア側の報告によると、この攻撃によって施設で火災が発生し、大きな被害が出たとみられている。

ブニイル・プログレスに対する攻撃は、より“力任せ”型の対ドローン対処法と言うこともできる。ウクライナはGNSSスプーフィングなど電子戦技術の改良で対処するのでなく、コメタモジュールが生産される源を直接たたくという手に出た。こうしたモジュールの生産能力を低下させれば、ウクライナ側は既存の電子戦システムの有効性を高めることができる。

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ウクライナのドローン生産基盤に対するロシアの攻撃

ロシア国防省は公式テレグラムチャンネルへの投稿で、4月25日から5月1日にかけてウクライナの目標に対して長距離攻撃を6回実施したと述べ、そのなかには「攻撃型無人航空機の組み立て施設や保管施設、発射地点」が含まれると言及している。同様の言及はここ数カ月の週間戦況報告に繰り返しみられ、ロシアがウクライナのドローンエコシステムに対する攻撃をますます優先させていることがうかがえる。

ロシアは、なかでも長距離攻撃ドローンに関連する施設を重点的な攻撃目標にしている。過去数カ月、ロシアはキーウ周辺にあるリューティー長距離ドローンの生産に関連した施設に対する攻撃を複数回実施している。リューティーはロシアの石油インフラや軍需産業施設に対する攻撃に広く使用されているため、その生産施設は優先順位の高い目標になっている。

ロシアはまた、ウクライナ軍が前線で大量に使用しているFPV(一人称視点)攻撃ドローンの組み立てや改修に携わっている工房も攻撃目標にしていると伝えられる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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