経営・戦略

2026.05.17 09:48

人間らしさこそが最強の武器──AI時代のビジネス戦略

ブルック・グリーンウォルド氏は、コーナーストーン・コミュニケーションズの社長兼最高経営責任者(CEO)である。

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現在、AI(人工知能)をめぐっては多くの恐怖が存在する。AIが人間に取って代わるのではないか、創造性を希薄化させるのではないか、という恐怖だ。そして、ビジネスにおける人間的要素が消失するのではないか、という恐怖もある。しかし、それは起こらない。なぜなら、ビジネスは本来、人間の創意工夫によって創造されるものだからだ。

私にはそうした恐怖はない。

AIが人間に取って代わることはない。適切に使用すれば、AIは驚異的なツールとなる。AIは、より迅速に動き、より効率的にリサーチし、情報を整理し、より高速に実行することを支援することで、人間ができることを強化できる。しかし、AIは依然として人間ではない。そして、この区別がかつてないほど重要になっている。

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むしろ、この瞬間は、真に重要なことについて明確にする機会を与えてくれるはずだ。人間的要素こそが、真正性(オーセンティシティ)の要素なのだ。これはAIにおいて真実であるだけでなく、ビジネス全体においても真実である。メッセージング、マーケティング、製品デザイン、リーダーシップ。そのすべてにおいてだ。

今、真の機会は、AIへの恐怖を、AIをめぐる恐怖の煽動、誤情報、偽情報から切り離し、AIを生産性向上ツールとして活用することだ。それにより、私たちはより多くのことを成し遂げ、人間にしかできない仕事のために時間を確保できる。

AIはあなたの立場に立ったことがない

AIは、あなたの立場に立って1マイル歩いたことがない。AIの血管には血が流れていない。AIには、あなたの人生経験も、直感も、価値観も、共感力もない。AIは、場の空気を読むこと、時間をかけて信頼を築くこと、意思決定の背後にある感情的な潮流を理解することが何を意味するのかを知らない。

確かに、AIは時に人間らしく聞こえることがある。適切なプロンプトを与えれば、正しいことを言わせることもできる。しかし、洗練されていることと真正であることは同じではない。人間らしく聞こえることと人間であることは同じではない。現在のAIを見れば、AIは私たちの共感力、創意工夫、経験を再現することはできない……少なくとも今のところは。

だからこそ、AIをめぐる議論の多くは要点を見逃している。AIは人間によって構築された。人間の経験がAIにつながった。人間の好奇心と洞察力がAIを創造した。では、なぜ私たちは、人間の経験がもはや重要ではないと判断するのだろうか。

私にとって、これこそが究極の真正性の論拠である。人間の経験は、この物語から切り離されたものではない。人間の経験こそが、この物語が存在する理由なのだ。

AIはファクトチェックをしない

ここで、企業は注意を払う必要がある。

AIは、あなたが始めるのを助けることができる。概要を作成し、計画を立て、情報を収集し、時間を節約することができる。しかし、AIが単独でできないことは、あなたを際立たせることだ。AIは、群衆の中であなたを輝かせることはない。AIは、あなたを群衆の一部にする。

それがリスクだ。置き換えではない。画一化だ。

すべての企業が同じツールを同じ方法で使用すると、メッセージングは区別がつかなくなり、ブランドは似たように感じられ、製品は一緒にぼやけ始める。問題は通常、ツールではない。人間のレイヤーの喪失だ。「これは私たちらしく聞こえるか?これは私たちの価値観を反映しているか?これは実際に、私たちが到達したい人々とつながるか?」と問う部分だ。

それが真正性の役割だ。真正性は、仕事に深みを与える。ブランドに一貫性を与える。メッセージに持続力を与える。

真正性は戦略的である

人々はしばしば、真正性を柔らかい特性であるかのように語る。しかし私は、真正性をビジネスの規律として捉えている。

マーケティングを行うなら、目的を持ってマーケティングしなければならない。自分自身の声でなければならない。営業を行うなら、人々がいる場所で彼らに到達する必要がある。製品を構築するなら、自分が何を創造したいかだけを考えることはできない。それがどのように受け取られるか、どのように使用されるか、長期的に何を構築しているかを考えなければならない。

あまりにも多くの組織が、どのように活用するかを十分に考えずに、結果に向かって急いでいる。彼らは、サイロ化された問題を次々と解決している。しかし、すべてがサイロに存在する場合、一貫したブランドを構築することはできない。あなたはただ問題を解決しているだけだ。真正で持続可能なものを創造しているわけではない。

ビジネスとは、共鳴するものを創造することであり、単に何かを世に出すことではない。共鳴は、あなたが聞いてほしいこと、見てほしいこと、信じてほしいことからではなく、彼らが座っている場所から、あなたのオーディエンスを真正に理解したときにのみ起こる。

優れたツールには依然として人間のガイドが必要だ

私はAI推進派だ。非常に強く支持している。しかし私は、人間が主導し、目的を持って使用され、真正な人間の経験に根ざしたAIを支持している。

AIは下書きを作成し、リサーチを表面化し、提案を提供できる。しかし、あなたはそれを自分のものにしなければならない。あなたはそれをガイドしなければならない。あなたは、何を言おうとしているのか、なぜそれが重要なのか、それが真実かどうかを知っていなければならない。

なぜなら、AIは人々が想定するようなファクトチェックをしないからだ。AIは、誤情報や偽情報を含め、そこにあるものから引き出す。だからこそ、人間によるチェックが重要なのだ。だからこそ、判断が重要なのだ。

リーダーシップは依然として人々に帰結する

真正性は、現在、極めて重要なリーダーシップの特性だ。リーダーは、チームと関わらなければならない。チームを理解しなければならない。チームが、ビジネスの使命だけでなく、最終顧客や最終ユーザーも理解していることを確認しなければならない。

そして、創造性のための余地を作らなければならない。

人々は、自分の声が聞かれていると感じたい。自分のアイデアが重要だと知りたい。確かに、報酬は重要だ。しかし、それは誰でも提供できる。従業員は、自分が家にいるように感じ、価値を認められていると感じ、何か本物を貢献できると知っている場所にとどまる。

AIはその仕事を支援できる。しかし、それを置き換えることはできない。人々の間に感情的なつながりを創造することはできない。それは依然としてリーダーシップだ。それは依然として人間だ。そして、それは依然として真正性だ。

AIは適切に使用すれば強力なツールだ──恐れる必要はない

私にとって、AIから恐怖を取り除く方法はシンプルだ。私たちは、AIが何であり、何でないかを思い出す必要がある。

AIはツールだ。強力なツールだ。AIはプレッシャーを取り除くことができる。時間を管理し、千のことをより効率的に行うのを助けることができる。しかし、AIは私たちになることはできない。

AIは人間の経験を持つことはできない。世界の中で人間であることから生まれる感情、直感、視点をもたらすことはできない。そして、それこそが、私たちがAIを恐れるべきでない理由だ。私たちは、私たちを際立たせるものに固定されたまま、さらに前進するためにAIを使用すべきだ。

ツールは私たちとともに成長すべきだ。私たちがツールの中に消えるべきではない。

AIのコストはコストだ。人間の経験の価値は、まったく別のものだ。それはプライスレスだ。

だからこそ、真正性が今、非常に重要なのだ。AIのために重要性が減るのではなく、むしろ増している。勝利する企業は、AIを使用して明確性を向上させ、より目的志向になり、真正に人間らしくあり続ける企業だ。

forbes.com 原文

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