リーダーシップ

2026.05.17 02:17

FBI犯罪プロファイリングの礎を築いた看護師に学ぶ、組織インフラの5原則

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Liz Corey(OnTheGrow Leadership創業者であり、GROWTH Leadership Systemの開発者)は、CEOが「インフラ」としてのリーダーシップを築くのを支援している。

1970年代後半、FBI捜査官のロバート・レスラーとジョン・ダグラスは、全米を回って最も凶悪な犯罪者への聞き取りを行っていた。彼らは前例のない形で加害者の心理に迫ることを許されたが、その資料はほとんど役に立たなかった。そこへ41歳の精神科看護師アン・バージェスがクアンティコに現れ、すべてを変えた。

初期のインタビューを聞いたバージェスは、率直にこう評価した。捜査官たちが集めたものは研究ではない。物語にすぎない——。一貫した構造も共通言語もなく、事例を比較できる方法論もなかった。そこでバージェスが介入し、犯罪プロファイリングのプロセスを全面的に再設計した。最低36件の構造化インタビューという基準を求め、57ページに及ぶ受刑者インタビュープロトコルを共同で作り上げた。取り組みの資金となる助成金を確保し、査読付き学術誌での発表をチームに促した。構造が整うと、行動につながるパターンが見えてきた。

FBIが突然賢くなったわけではない。知性はもともとあった。組織として、捜査官がチームで思考する際の規律が高まったのである。ここに、今日の多くの組織にも内在する事実がある。実行の問題は戦略の問題であることはまれで、リーダーシップのインフラの問題であることが多い。

リーダーシップのインフラを築く5つの原則

バージェスの仕事は、企業がリーダーの能力を育てる方法にそのまま当てはまる、5つのインフラ原則を示している。

1. 構造がなければ、才能も努力も無力である

勘で難しい取引をまとめる幹部。個人の頑張りだけで工場を動かし続けるオペレーター。30秒で場の空気を読める創業者。こうした人材は実在し、組織にとって価値が高い。だが同時に、ほとんどスケールさせられない。

会社の成長仮説が2〜3人の突出した個人に依存しているなら、それは戦略ではない。依存である。選ばれた少数に頼るほど、その人材が去ったときに組織は必然的に混乱を経験する。

2. 共通言語があれば、洞察はスケールする

追加買収(ボルトオン買収)の準備を進めるある投資先企業を考えてみよう。取締役会への報告ではCEOが「統合は順調だ」と語る。一方でCOOはディールチームに「未解決の項目がいくつか残っている」と伝える。統合リードはPMO(プロジェクト管理担当)に、3つのワークストリームが「赤」だと説明し、CHROは買収先とのカルチャーフィットを「有望だ」と評する。

6カ月後、シナジーは35%未達となり、買収した企業のトップ人材2人が退職し、取締役会は「なぜ誰もリスクを指摘しなかったのか」と問う。指摘されなかったのは、評価のための共通言語が社内になかったからだ。リーダーが共通の診断語彙を共有すれば、問題は解ける形になる。そうでなければ、あらゆる会議が解釈の場となり、あらゆる振り返りが「どの物語が最も説得力を持つか」をめぐる交渉になってしまう。

3. 規律あるリズムが、情報をインテリジェンスへと変える

バージェスがすべてのインタビューを同じやり方でコード化したのは、非構造の情報はデータではないからだ。正しい答えを見つけるにはリズムが必要である。規律あるオペレーションリズムを持たない組織は、洞察ではなく物語を蓄積していく。確立すべき重要なリズムは4つある。

診断(Diagnostic): チームの健全性と実行状況を、一貫した頻度で評価する

意思決定(Decision): 誰が何を、いつまでに、どの情報に基づいて決めるのかを明確にする

パフォーマンス(Performance): 「良い状態」とは何かという共通基準にチームを結び付ける

フィードバック(Feedback): 直接的で頻度の高い示唆を提供し、問題が損益計算書上の出来事になる前に発見する

4. 仕組みの焦点を、人物ではなく問題に合わせる

バージェスの仕事の一部は、FBIの焦点を犯人そのものではなく被害者のパターンへと移すことだった。これにより分析の客観性が担保された。リスクを見つけるには、組織は反復行動に目を向ける必要がある。反復行動は、数字が問題を示すずっと前から姿を現すからだ。

問題提起をしなくなったリーダー、沈黙するようになった高業績者に注意せよ。会議で話しているのはいつも同じ3人ではないか。部門横断の摩擦はないか。おそらく、フォーラムではなく廊下で意思決定が増え、「それが自分の判断だとは知らなかった」という声も増えている。

こうしたシグナルを無視する代償は大きい。四半期の取り逃し、統合や製品リリースの遅延、最悪のタイミングでの想定外の経営幹部サーチにつながり得る。リーダーシップに関する議論には、問題・データ・パターンに焦点を当て続けるための構造が必要である。

5. インフラは個人より長く生きる

アン・バージェスは世間の語りの中ではほとんど目立たなかったが、彼女が導入した仕組みは今も動き続けている。真のインフラはリーダー交代を乗り越え、チームをまたいでスケールし、一貫した成果を生むからだ。持続するインフラは3つで成り立つ。共通言語、繰り返し可能なプロセス、そして仕事に求められるものについての共通基準である。

多くの組織はいまも「物語」を集めている

多くの企業には優秀な人材がいて、情報も多く、議論は尽きない。だが一貫したオペレーションの枠組みがなければ、会議はパターンを検知するためのフォーラムではなく、物語を押し通す場になってしまう。これが、戦略が実行へと変換されない理由である。組織に必要なのは、リーダーが「一緒に考える」ためのより良いシステムだ。だからこそ、問うべきはこうである。「自社にはいま、パターンを見抜くためのインフラがあるのか。それとも、まだ物語を集めているだけなのか」

forbes.com 原文

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