1. 恥ずかしい記憶の「直接抑制」
1つ目の戦略は「直接抑制(direct suppression)」であり、記憶が完全に展開する前に中断する方法だ。実践としては、脳が恥ずかしい場面の再生を始めた瞬間に気づき、それ以上は意図的に膨らませないと決める。会話をコマ送りで再生する代わりに、そのプロセスを早々に断ち切る。
たとえば、遠い過去の屈辱的な瞬間を突然思い出したとしよう。細部まで頭の中でたどり直すのではなく、ただちに注意を外側の具体的な対象へ向け直す。床に触れている足裏の感覚、呼吸の感触、部屋の音に意識を向ける。
目的は否認でも感情の抑圧でもない。記憶が認知のスパイラルへ雪だるま式に膨らむのを防ぐことだ。研究者は、想起を繰り返し中断することで、その記憶が時間とともにアクセスしにくくなりうることを見いだした。つまり脳は、その記憶を鮮明に取り出す練習をしなくなる。
2. 恥ずかしい記憶の「思考置換」
2つ目の戦略は「思考置換(thought substitution)」であり、アプローチは正反対である。望ましくない記憶をブロックするのではなく、別の、心を引き込むイメージや記憶に置き換える。
注意には容量の限界があるため、鮮明な代替があれば、侵入思考が完全に形を成す前に押し出せることがある。最も効果的なのは、代替の記憶が感情的に強く、視覚化しやすい場合だ。親しい友人やパートナーとの面白い思い出がそれに当たる人もいれば、落ち着く自然の風景、意味のある達成、愛着のある旅の記憶が適している人もいる。
要点は、その記憶をあらかじめ用意しておくことだ。反芻のスパイラルの最中に、置き換えの思考を即興でひねり出すのは想像以上に難しい。したがって、いくつかの「定番」の心的代替を先に選んでおくとよい。これにより、望ましくない記憶がリハーサルされる量が減り、注意を奪う力が弱まる。
もちろん、こうした方法で恥ずかしい記憶を永久に消去できるわけではない。人間の記憶はそうした仕組みではなく、ハードドライブからファイルを削除するようにはいかない。それでも研究は、私たちが反復する思考ループに対して、思っているほど無力ではないことを、ますます示しつつある。


