テクノロジー

2026.05.18 08:30

空飛ぶクルマがついに登場──移動のかたちを永遠に変えるかもしれない

Photo by Spencer Platt/Getty Images

Photo by Spencer Platt/Getty Images

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がDeLorean(デロリアン)を空へ飛ばして以来、空飛ぶクルマは「約束された未来」を象徴する最もわかりやすいアイコンの1つであり続けてきた。だがその未来は、長年にわたり頑なに手の届かないところにとどまっているように見えた。

それが今、ようやく近づきつつあるのかもしれない。

過熱した期待、思惑外れの船出、注目を集めた挫折を経て、新世代の空飛ぶ乗り物が試作段階から量産段階へと移行しつつある。航空大手、自動車メーカー、有力投資家らの支援を受けた各社が、電動垂直離着陸(eVTOL)機、自律飛行型の空飛ぶタクシー、そして公道走行も空への離陸も可能な車両を開発している。

これらの機体は、SFが描いてきた空飛ぶクルマとはあまり似ていない。多くはプロペラで推進するeVTOLであり、従来の航空輸送よりはるかに少ない地上インフラで、渋滞する道路の上空に人や貨物を運ぶ設計になっている。

その市場規模は途方もない。モルガン・スタンレーは、個人向け自律航空機の市場規模が1.5兆ドル(約238兆1400億円)に達する可能性があると試算している。日本の空のモビリティ開発企業SkyDrive(スカイドライブ)の福澤知浩CEOは、2030年までに空飛ぶタクシーの運賃は通常のタクシーの2倍程度まで下がりうると予測している。

では、空飛ぶクルマはついに日常生活の一部となる準備が整ったのだろうか。そして実際にそうなったとき、何が本当に変わるのか。空に飛び立とうとしている最新の機体を見ていこう。

Joby Aviation N545JX

Joby(ジョビー)はデルタ航空およびUber(ウーバー)と提携し、電動の都市型通勤機を空に送り出すレースの先頭を走る1社として浮上してきた。同社は最近のデモ飛行で、JFK 空港からマンハッタン中心部まで車で 1 時間かかる道のりをわずか 7 分に短縮できることを示した。Jobyが狙うのは超富裕層向けのパーソナルモビリティではなく、大衆向けの先端モビリティであり、最終的にはUber Black(ウーバー・ブラック)のような高級ハイヤーサービスと同程度の価格帯で提供することを目標としている。空の通勤を一般の人々の日常にし、終わりの見えない渋滞や鉄道の遅延から解放する──それが最終目的だ。

EHang EH216-S

本稿で取り上げる機体の多くが、パイロットの操縦により乗客を運ぶ前提で設計されているのに対し、中国EHang(イーハン)の最新モデルは完全自律飛行型である。同機は、中国で商業運航の認可を得た初の自律飛行型空飛ぶタクシーとなり、すでに観光遊覧サービスを開始している。EHangは19か国で実証実験やパイロットプロジェクトを進めており、その多くは空港・市街地間ルートを対象としている。同社は、パイロットを乗せないことによる定員と積載量の優位がビジネス上の差別化につながると見込む。ただし大きな問いは残る──人間のパイロットが乗っていない機体で空を飛ぶ覚悟が、私たちにあるのかという点だ。

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翻訳=酒匂寛

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